ブックタイトル臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

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概要

臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

104手足症候群とは手足症候群* 1は,従来カペシタビン(ゼローダ?)を始めとする殺細胞性抗がん薬で生じることが多かった.しかし近年,マルチキナーゼ阻害薬などの分子標的薬でも手足症候群が生じることがあり,注目されるようになった 1).本稿では,主に分子標的薬で生じる手足症候群について,予防と対策を詳述する.□ 手足症候群を引き起こす分子標的薬手足症候群を生じる可能性がある分子標的薬は,マルチキナーゼ阻害薬が多く,アキシチニブ(インライタ ?),イマチニブ(グリベック ?),スニチニブ(スーテント ?),ソラフェニブ(ネクサバール ?),パゾパニブ(ヴォトリエント ?),レゴラフェニブ(スチバーガ ?)およびレンバチニブ(レンビマ ?)などが含まれる 3).□ 手足症候群の症状発赤・腫脹に始まり,疼痛やしびれを伴うことがある.分子標的薬による手足症候群の症状は,掌蹠(手掌と足の裏)に現れ,薬剤の内服を開始して数日後から2 週ごろまでに現れることが多い.病変は,荷重部位や摩擦部に特徴的に現れやすく(図1),殺細胞性抗がん薬による手足症候群が,比較的びまん性に症状が現れるのとは対照的である(図2) 4).重症度が増すと水疱やびらんを伴って潰瘍化することがあり,痛みが増悪する.さらに掌蹠にとどまらず,爪囲にも症状が現れることがある.特に,分子標的薬による手足症候群の場合には,水疱内容を伴わな*1 手足症候群の名称CTCAE の分類では,該当する皮膚障害は「手掌・足底発赤知覚不全症候群」と記載されているが 2),診療現場では手足症候群として広く認識されている.  第2 章 身体症状別 アピアランスケア●● ●カペシタビンを始めとする殺細胞性抗がん薬のほか,近年ではマルチキナーゼ阻害薬などの分子標的薬による発症が注目されている.●● ●QOL を著しく低下させるが確立した治療法はなく,重症化すると休薬せざるを得ないこともあるため,重症化を防ぎ,早期から予防を講じることが重要である.●● ●発症した際は,重症度によって保湿薬・副腎皮質ステロイドの外用や創傷被覆材の使用,休薬などで対処する.Point3 手足症候群