ブックタイトル臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

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概要

臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

57を隠しても隠さなくても患者がその人らしく人とのかかわりのなかで過ごしていられることが支援のゴールである.そのためには,脱毛を隠さない選択,反対におしゃれにして過ごす選択,その両方の場面を分ける選択もある.カモフラージュの方法も,ウィッグ・帽子・つけ毛などさまざまである.医療者は,治療しながらもそれなりに快適に日常生活を過ごす方法が必ず見つかることを患者に伝え,ともに模索する姿勢が必要である.外見の変化に関して患者を支援するにあたっては,単純な知識や情報の提供だけでなく,患者の思い込みを解く認知的なかかわりや,実際の問題シーンでの対処法をともに考えることが最も重要である.脱毛前の準備薬物療法の決定から実際に脱毛するまで,数週間の時間的余裕があるため,その間に脱毛前に一定の準備をしておくことを勧めるとよい.帽子やウィッグなど具体的な物品の準備だけでなく,脱毛や再発毛のプロセスを知ること*1などが,病気に対するコントロール感の醸成につながり,自己効力感を高めるからである*2.ただし,病気自体を受け止められない場合や脱毛に対する抵抗感の強い場合など,事前に準備することができない患者もいる.その場合でも脱毛が開始すると逆に冷静になって対処できることも多いので,無理に勧めないように注意する.□ 体調の変化に関する情報提供具体的準備に際して意外に重要なのは,治療サイクルに伴う体調の変化に関する情報の提供である.患者のなかには,薬物療法を行う期間はすべて体調不良となり,外出できないと思い込んでいる人もいる.そこで,個人差はあるものの,次の治療の前は体調が戻っている人が多いことや,治療によっては,調整しながら仕事を継続する人もいることなどを伝えると,患者はウィッグや帽子の要不要なども具体的に考えることができる.□ 地毛の処理脱毛が予見できる場合には,筆者らは原則として,事前に地毛を短く切っておくことを推奨している.洗髪時に絡みにくいなど,長い髪のま*1 脱毛・再発毛のプロセスの理解p.48?参照*2 脱毛前教育の重要性米国がん看護学会によるがん化学療法ガイドライン4)でも,外見の変化に対するコントロール感を高めるために,適切な情報提供を含む脱毛前教育の重要性を明記している.1.毛髪の変化