ブックタイトル臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

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概要

臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

56医療者による脱毛に対する支援の実態薬物療法の多様化に伴い,毛髪に対する副作用は脱毛のみならず,脱色・変色,剛毛化・軟毛化など,さまざまなものがみられるようになった.しかし,依然脱毛が患者の多くにとっては最も苦痛度が高い外見変化の症状である1, 2).それは,脱毛が患者にとって,「病気」や「死」を意味する「がん」の象徴であり,社会的にもがん治療の副作用として認知されているからである.そのため,脱毛しても上手にカバーできなかった場合には,「死を抱えた人」「かわいそうな人」と周囲から見られ,今まで通りの対等な人間関係でいられなくなるという恐怖を感じ,時に治療拒否につながることもある.そのため,医療者の多くは患者の脱毛症状に対する支援が重要であると考えており,乳がん治療施設を対象とした調査3)では,98%の施設が脱毛に関するサポートの重要性を認めていた.しかし,実際に行っている支援は「ウィッグのパンフレット配布」(94%)にすぎなかった.最近では,脱毛に関する冊子や資料を配布する病院もあるが,その内容のほとんどは,メーカーや販売店の寄稿によるものであるため,企業にとっての常識や価値感が重視され,その対処法が本当に患者にとって有益なのか,十分に考えられてきたとはいえない.しかし,医療者のアドバイスが患者に与える影響は大きい.そこで本項では,医療者が善意のまま「白衣を着た販売員」にならないよう,医療者がなすべき支援について検討する.医療者に必要なスタンスアピアランスケアは,「患者と社会をつなぐこと」,すなわち脱毛状態第2 章 身体症状別 アピアランスケア●● ●医療者が善意のまま「白衣を着た販売員」にならないようにする.●● ●脱毛状態を隠しても隠さなくても,患者がその人らしく他人との関わりのなかで過ごしていられることが支援のゴールである.●● ●頭髪には,さまざまなカモフラージュ方法がある.医療者は,患者の思い込みを和らげ,生活や希望に合わせて選択できるよう支援する.Point2 頭髪の変化に対するケアとカモフラージュ法