ブックタイトル臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

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概要

臨床で活かす がん患者のアピアランスケア

2背 景□□ がん医療における外見の問題がんは,1981 年からわが国の死亡原因の第1 位である.そのため,がん医療においては,延命率や生存率が重視され,積極的な治療が行われるほか,政策的にもがんのメカニズムの解明のための基礎研究や早期診断,新しい治療法の開発を目指す研究が,重点的に推進されてきた□1).しかし,手術・放射線療法・薬物療法などの,身体に対して侵襲性の高い治療は,身体の変形・瘢痕・脱毛・皮膚や爪の障害・むくみなど,短期的なものから永続的なものまで,さまざまな外見の変化を生じさせる(表1).それにもかかわらず,がん治療に伴って生じる外見の症状についての研究は僅少であり,その予防法や治療法も十分に検証されたものではない□2).加えて,これらの外見の変化が患者に与える心理社会的な影響についても,過小評価されてきた.その理由としては,がんを克服し,治療に専念すべきときに,外見の不安を口にするのは不適切であると,患者自身がおそれてきたことが指摘されている□3).アピアランスケアとは1●● ●外見の変化による苦痛は,自己イメージに関連する心理的苦痛や他者とのかかわりのなかで生じる相対的な苦痛である点で,疼痛などの身体的苦痛とは大きく異なる.●● ●アピアランスケアとは,医学的・整容的・心理社会的支援を用いて,外見の変化を補完し,外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアである.●● ●アピアランスケアの目的を簡潔に表現すれば,患者が家族を含めた人間関係のなかで,その人らしく過ごせるよう支援することである.●● ●アピアランスケアは,医療者が備えておくべき支持療法の1 つであり,そのために医療者が行う情報提供や指導は,患者にとって実行しやすいものでなければならない.●● ●情報や技術の提供だけでなく,患者とコミュニケーションしながらケアを行うプロセスも重要である.Point