ブックタイトルがん患者の輸液・栄養療法

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概要

がん患者の輸液・栄養療法

1 侵襲に伴う代謝変動と栄養管理理学的所見や血液検査所見で侵襲から順調に離脱していると判断された場合,創傷や損傷の治癒を優先した栄養管理に移行する.この時期では,グルコース投与量は230 ~ 250g/ 日,蛋白質(アミノ酸)は70g/ 日(約1.2g/kg/ 日),脂質は50 ~ 60g/ 日に設定する.これで総エネルギー投与量は1,650 ~ 1,820kcal/ 日(27.5 ~ 30.3kcal/kg/ 日)になる.この時点に至っても消化管を利用できない場合の輸液処方は以下のようになる.?総エネルギー1,733kcal/日?グルコース240g/日?脂質50g/日?NaCl 105mEq/日?NPC/N比134?アミノ酸68g/日?脂質熱量比29%処方例? エルネオパR 2号(1,500mL) 1パックアミパレンR(300mL) 1パック塩化Na補正液(1mEq/mL) 40mL 70 mL/時(1,680mL/日)で投与? イントラリポスR(20%) 250mL処方例では,本体の投与速度を70mL/ 時に設定してある.TPN施工中に高血糖がみられた際は,グルコースの投与速度が必要量を上回っている可能性を考慮する.グルコースの投与速度を減じるには,本体の投与速度を緩徐にすればよい.このように投与速度を調節することで,グルコースの投与速度を連続変数的に変えることができる.(大村健二)参考文献1) Cahill GF Jr. : Starvation in man. N Engl J Med, 282(12): 668-675, 1970.2) Schricker T, et al : Parenteral nutrition and protein sparing after surger y : do we need glucose?. Metabolism, 56(8):1044-1050, 2007.3) Marik PE, et al : Early enteral nutrition in acutely ill patients : a systematic review. Crit Care Med, 29(12): 2264-2270,2001.4) 井上善文:栄養療法の選択.コメディカルのための静脈経腸栄養ハンドブック,日本静脈経腸栄養学会 編,p148-154,南江堂,東京,2008.5) Berg JM, et al : 各臓器での代謝のあり方は,それぞれ独特である.ストライヤー生化学 第5版,入村達郎ほか監訳,p857-p860,東京化学同人,東京,2004.6) Patino JF, et al : Hypocaloric support in the critically ill. World J Surg, 23(6): 553-559, 1999.7) van den Berghe G, et al : Intensive insulin therapy in critically ill patients. N Engl J Med, 345(19): 1359-1367, 2001.8) NICE-SUGAR Study Investigators : Intensive versus conventional glucose control in critically ill patients. N Engl JMed, 360(13): 1283-1297, 2009.9) Weber JM : Metabolic fuels : regulating fluxes to select mix. J Exp Biol, 214(Pt 2): 286-294, 2011.109