ブックタイトル地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

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概要

地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

  199第Ⅰ章 高齢者救急の基礎知識4 感染制御総論POINT▲高齢者はなんらかの基礎疾患を有し,感染症を発症しやすく重症化するリスクが高い.▲高齢者施設ではインフルエンザ,ノロウイルス感染症,疥癬,結核などによるアウトブレイクが起こりやすい.▲高齢者は各種耐性菌やC.difficile の保菌リスクが高く,院内で感染源となり得るため注意が必要である.日本人の高齢化が進んでいる現状において,救急領域においても高齢者の患者が増加し,それに向けた対応が急務であると考えられる 1).高齢者の救急患者は感染症が主な原因で搬送される例もまれではないと思われるが,入院時に明らかな感染症を認めなくても,入院後に感染症を合併する頻度は高い.また,高齢者は長い年月を生きてきたことで,各種の病原体に曝露され,体内に保菌しているリスクも高い.そのため,高齢者が感染源となって救命救急センター内で感染症のアウトブレイクが起こる場合もある.これらの理由により,救急領域においても感染症に対する十分な認識と適切な対策が必要になると思われる.高齢者における感染症の一般的特徴高齢者は一般的になんらかの基礎疾患を有する場合が多く,それに伴って各種の感染症を発症するリスクが高い.たとえば,糖尿病や慢性呼吸器疾患,中枢神経系疾患,心疾患,低栄養状態などは直接あるいは間接的に感染症の誘因となり,なんらかの感染症を合併している例も少なくない(図4-1).また,その治療に伴って行われる各種の医療行為も医原性の要因として感染症のリスクを高めることになる.高齢者は一般的に感染防御能が低下しているため,いったん感染症を発症