ブックタイトル地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

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概要

地域とつながる 高齢者救急実践ガイド

26  1 めまいPOINT▲中枢性めまいを鑑別することが最も重要である.▲注視方向性眼振,垂直性眼振,純回施性眼振は中枢性の所見である.▲CT が正常でも脳梗塞の否定はできない.高齢者のめまいわが国の高齢者人口の増加とともに,耳鼻咽喉科を受診する高齢めまい患者の割合も増加している.われわれの以前の統計データでは,救急外来を受診しためまい患者468症例中60歳以上が154例(32.9%)で約1/3を占めていた 1).高齢者のめまいやふらつきといった症状は,日常生活活動に直接影響するだけでなく,転倒すれば骨折などの重篤な事態をもまねく.また転倒は,骨折や重篤な外傷の発生だけでなく,転倒経験による恐怖心からADLを低下させ,日常生活の活動が制限され,寝たきりにつながり,呼吸器感染などの発症のリスクも高くなると考えられる.診断・治療のガイドライン,エビデンスめまいの診察で最も重要なことは,中枢性めまい,すなわち「危険なめまい」を鑑別することである.めまい症状の多くは治療により軽快するが,ときに生命に影響する重篤な疾患に遭遇することもあるので,緊急の対応が必要な疾患か否かを鑑別する必要がある.それぞれの病院でめまい患者の取り第Ⅰ章 高齢者救急の基礎知識高齢者に起こりやすい急性症状,2 疾患と診断・治療