ブックタイトル動きながら考える!内科救急診療のロジック

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概要

動きながら考える!内科救急診療のロジック

64Ⅱ. 各 論みちお先生 そうですね.プロブレムの列挙(List up)はできていますね.このあとはプロブレムの優先順位づけ(Prioritization),統合(Grouping)を行います.まずは優先順位づけですね.ERの現場では,以下の“ENTer”の項目を多く満たすような優先順位が高いプロブレムに着目します.優先順位の高いプロブレムを示す “ENTer”E:emergency( バイタルサインへの影響度が高いもの〔現段階だけでなく,今後悪くなると予想される場合も含む〕)N:new-onset(新たに発症したもの〔慢性の病態の急性増悪も含む〕)Ter:treatable(治療可能なもの〔ERで,もしくは入院初日に〕)*これらの頭文字をとって,“ENTer”=“入口”と覚える. もちろん,はじめ先生が作ってくれたプロブレムリストの中のプロブレムは,すべていずれかの項目は満たしていますが,その中でもENTer の項目を多く満たす特に重要なものを選び,それを軸として思考を進めてみましょう.はじめ先生 はい.じゃあ,今回の場合は,DKAによる乳酸アシドーシスや低体温などが軸となる,特に優先順位の高いプロブレムということでしょうか?みちお先生 そうですね.いずれも急性に起こったと思われますし,放置するとバイタルサインの異常に直結しそうですね.はじめ先生 はい.優先順位をつけるとこんな感じでしょうか.先ほど「乳酸アシドーシス+高血糖」の原因はDKAと診断したので,この2つのプロブレムはまとめておきます.DKA“ENTer”の項目のすべてを満たすプロブレムは2 つを満たすプロブレムは1 つを満たすプロブレムは頻呼吸,呼吸性アルカローシス頻 脈軽度意識障害殿部の皮疹・握雪感低ナトリウム血症炎症反応上昇(WBC,CRP)BUN/Cr 比の上昇下大静脈・左心室の虚脱AG 上昇性代謝性アシドーシス乳酸アシドーシス高血糖低体温