ブックタイトル聴覚検査の実際 改訂4版

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概要

聴覚検査の実際 改訂4版

17514 補聴器装用のための検査行ってもよい. 通常のオージオメータの最大出力で不快レベルに達しない場合は,ブースターを用いてオージオメータの出力を上げなければならないが,強大音を長時間与えて音響外傷を起こさないよう注意が必要である. 不快レベルは補充現象陽性の感音難聴では正常耳とあまり変わらない.伝音難聴では難聴の程度に比例して高くなる.2)快適レベル(MCL:most comfortable loudness level) 音の大きさの感覚は,聴覚閾値上で「小さいがきこえる」,「やや小さすぎる」,「最も聴きやすい大きさ」,「やや大きすぎる」と変化する.最も聴きやすい大きさと感じるレベルを快適レベルとする. 快適レベルの測定は,不快レベルと同様に,オージオメータを用いて気導聴力検査を行う要領で行う.検査音(例えば1000 Hz の純音)を患者の閾値のレベルから5 dB ステップで約5 秒ごとに大きくして与え,音の大きさがちょうどよくて聴きやすいと感じたときに合図させる.さらに5 dB ずつ5 秒間隔で音を強くしてやや大きすぎると感じたときに合図をやめさせる.合図がやんだ後にさらに5 dB 音を強くし,次いで,5 dB ステップで5 秒間隔で音を弱くして,ちょうどよくて聴きやすいと感じたときに合図をさせる(測定値a).さらに音を弱くし,やや小さすぎると感じたときに合図をやめさせる.合図がやんだ後にさらに5 dB 音を弱くしたあと,再び5 dB ステップで5 秒間隔で音を強くして,ちょうどよくて聴きやすいと感じたところで合図をさせる(測定値b).測定値a と測定値b との平均値を快適レベルとする. 1 回目の検査が信頼できない場合には,同一の手順を繰り返して2 回目の結果を採用する.必要な場合は500 Hz,2000 Hz および4000 Hz での検査を追加する.D 補聴器適合検査 調整された補聴器が難聴者に有効であるかどうかを評価するための方法が補聴器適合検査である.日本聴覚医学会では,補聴器の適合状態を総合的に判断するための補聴器適合検査法の指針について検討されてきた.その結果,現在実施されている補聴器適合評価のための検査法の中から,比較的評価が定まっており,かつ医療現場で実施可能な検査法を選択し,その実施方法と評価方法についてとりまとめられたのが補聴器適合検査の指針(2010)である.本項では指針にしたがって解説を進める. 指針では臨床で実施するうえでの妥当性を考慮し,以下の8 つの検査法について示されている. ① 語音明瞭度曲線または語音明瞭度の測定 ② 環境騒音の許容を指標とした適合評価 ③ 実耳挿入利得の測定(鼓膜面音圧の測定) ④ 挿入形イヤホンを用いた音圧レベル(SPL)での聴覚閾値・不快レベルの測定 ⑤ 音場での補聴器装用閾値の測定(ファンクショナルゲインの測定) ⑥ 補聴器特性図とオージオグラムを用いた利得・装用閾値の算出 ⑦ 雑音を負荷したときの語音明瞭度の測定