ブックタイトル聴覚検査の実際 改訂4版

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概要

聴覚検査の実際 改訂4版

148第Ⅱ部 聴覚検査の実際f. 検査手順 オージオメータの受話器から片耳に被検児が十分聞こえると想定される純音を提示する.被検児には,聞こえたら目の前のボタンを押す,あるいは玉を1 つ箱の中に入れるように教える.被検児が適切に応答したら,被検児の目の前の電車を走らせる.この操作を何度か繰り返すと条件づけが完成する.もし,被検児が面白がって音がなくても応答した場合には,必ず違うと身振りで示して元に戻させることがしっかりした条件づけのために重要である.この反応行動を指標にして周波数ごとの閾値を測定する.g. 留意点 低年齢ではマスキングの指示が理解できないことが多いので,気導聴力に40 dB 以上の左右差がある難聴側の聴力や左右別々の骨導閾値の測定は難しい.E 検査結果の記録1)聴性行動反応聴力検査の記録 検査音発生装置を使用した場合は刺激耳,刺激音の周波数や音圧を,楽器や玩具を使用した場合はその音源を記載し,それぞれ観察された聴性反射や聴性反応を文章で記録する.2)音場でスピーカを使用した場合 音場検査のオージオグラムでは,図Ⅱ- 10 - 7 のように聴力レベルを示す記号として△を用い,△と△との間は線で結ばない.補聴器や人工内耳を装用して閾値を測定した場合は黒い三角▲を用いる.3)受話器使用の場合 遊戯聴力検査の結果は,標準純音聴力検査のオージオグラム記載方法と同じである.F 幼児の語音聴力検査 難聴小児の療育において音声言語の習得は最も重要な目標であり,治療や療育の効果を評価するためには何らかの語音聴力検査が必要である.しかし,成人と同じ語音聴力検査ができるのは,検査に慣れた被検児でも,少なくとも5 歳以上でないと難しく,それより低年齢の幼児の語音聴力を検査するには種々の工夫を要する.a. 絵カード取り あらかじめ養育者に既存の絵カードから被検児が知っている単語を選んでもらい,それらの中から適当な枚数を被検児の前に並べ,検査者が口元を見せないように単語を発声して,被検児に該当カードを選ばせる.提示する音声の大きさを調節するとおおよその聴力レベルを推測でき,復唱させれば構音も調べられる.b. 小児用語音聴力検査 単音節,単語,文章などをスピーカあるいは受話器から提示し,被検児に聞こえた語音を応答あるいは復唱させて検査する.補聴器や人工内耳の装用効果を評価し,経時的に観察するのに有用である.語音のリストは,単音節では67-S 語表,単語では67-AB の有意単語リスト,文章で