ブックタイトル聴覚検査の実際 改訂4版

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概要

聴覚検査の実際 改訂4版

1137 選別聴力検査B 新生児・乳幼児・学童選別検査1)目 的 各児の聴力を正しく評価し,難聴の早期診断を行う.選別検査にて難聴が疑われた場合には新生児,乳幼児では,聴性行動反応検査あるいは聴性脳幹反応(ABR)による定量的あるいは半定量的聴力検査により,総合的に難聴の有無と程度を判定する.また学童については純音聴力検査などによって難聴を診断する.2)検査対象a.新生児(1)新生児すべてを検査する方法 分娩後入院中の新生児をすべて検査する方法である.この方法で問題となるのは ① 中等度以下の難聴は選別できないこと. ② 大脳皮質の障害はわからないこと. ③ 各検者による検査結果の判定が必ずしも一致しないこと. ④ 先天性難聴児の頻度自体が極めて低いこと.などであり,徹底して行わない場合は労多くして功少ない.したがって現在特定の目的で行われる場合を除いて,日常的な選別検査としては奨励されない.(2)リスク児を重点的に検査する方法 難聴のリスク因子(表Ⅱ- 7 - 2)を有する新生児を病歴および各種の検査結果から重点的に選別した上で,聴力について検査する方法で,前者より奨励されている方法である.b.乳幼児 現在3歳児聴覚検診(表Ⅱ- 7 - 3)として,通常の乳幼児の聴力検査として実施される(第Ⅱ部- 10 章参照).c.学 童 学校保健法に基づき,小学校就学前および就学中(基本的には毎年1回)に全員に実施されている.3)検査方法a.新生児(1)聴性行動反応聴力検査(BOA:behavioral observation audiometry) その指標はいわゆるMoro 反応として,音により,① 腕を屈曲させる,② 眼瞼反射(瞬目),③ 覚醒反射,④ 呼吸反射,⑤ 一過性の深呼吸などを用いている.音の強さは90 dB SPL で,3000 Hz を中心とする震音(warble tone)を用いるのが反応の有無の判定にはよい.しかし,大脳の発達とともに発現頻度が低下するため6ヵ月以降では適当ではない.(2)AABR(automated ABR )検査 40 dB(35 dB)並びに70 dB 程度のクリック音刺激に対するABR の有無を特殊なアルゴリズムを用いて,“pass”(反応あり)か,または“refer”(反応なし:難聴の疑いあり)かの選別検査を行い,後者の場合には耳鼻咽喉科に精密聴検を委ねる.なお,OAE を利用した特殊な選別