ブックタイトルうろなび 泌尿器疾患診療ナビ
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うろなび 泌尿器疾患診療ナビ
1114Chapter プライマリケア医が診る泌尿器疾患と外来マネジメントのポイントMEMO夏になると「血尿が出た」と訴えて受診する患者が増える.単なる濃縮尿で,濃黄色をそのように自覚するわけだが,真の肉眼的血尿と聞き分けるのはやや困難である.実際には真の肉眼的血尿を疑わせるポイントがいくつかある.?トイレの便器に血がぽたぽたとついた,?血の塊が混じっていた,?ティッシュで拭いたら色がついた,?排尿の最初と最後で尿の色が違った,などは,真の肉眼的血尿である可能性の高い訴えである.コラム血尿が消えた肉眼的血尿同じような話は何度かある.以前勤務医だった頃の話であるが,老夫婦が「肉眼的血尿が出た」と言って受診した.少し前に同じ症状で受診があり,そのときのカルテを見てみると,受診時には顕微鏡的血尿もなく念のために行った腹部超音波検査でも尿路に腫瘤陰影は指摘できていなかった.担当した医師の診断は「本人の間違いか…,症状再度出たら受診か?」といったような内容であった.夏場に「血尿が出た」と受診する患者が,高度に濃縮された尿を勘違いしている場合が多く,確かに初診時の状況からはそのように感じられた.初診時の診療内容を確認してみても特記事項はなく,ただ腹部超音波検査施行時の尿貯留量が目算100mL ほどだったのが少し気になる程度だった.筆者のところに再診した際にも顕微鏡的血尿はなく,やはり検尿したのちの腹部超音波検査では膀胱内に明らかな腫瘤はみられなかったが,このときは肉眼的血尿が確かにあると判断し,患者に頑張って1 時間ほど尿をためてもらったのちに再検すると,膀胱左壁にはっきりと膀胱腫瘍が確認できた.結果的に事なきを得た患者だったが,薄氷を踏む思いである.本文中にも記載したが,このように明らかな肉眼的血尿があるにもかかわらず受診時にまったく血尿がないのは,むしろ腫瘍の存在を疑う気持ちでもよい.微妙な訴えのときに真の血尿と判断するポイントはいくつかあるが,それはMEMO を参照してほしい.