ブックタイトルこれからはじめる周産期メンタルヘルス

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概要

これからはじめる周産期メンタルヘルス

27各 論Ⅱ.周産期における精神疾患どんな人がなりやすい? 発症のバックグラウンドとしては,妊娠前からの精神疾患の既往や,パートナーや実母などからの実質的・情緒的サポートの不足,対人関係のゆがみ,経済,住居環境などさまざまな問題があげられます.直接的誘因としては,妊娠・出産そのものが,内分泌学的にも心理的にも大きな影響を女性の体に与え,これ自体がライフイベントとして,発症に直接的に関係する側面をもっています.また,その他のライフイベントとして,家族の死や重大な病気の発症,事故や災害などがあげられます.このように背景的因子と直接的に誘因となるライフイベントが産後うつ病の発症に関連しています.それぞれについて,もう少し詳しくみてみます. まず出産時の問題ですが,もともと健診していた病院から何らかの理由で母体搬送になって,まったく初めての病院に運ばれて出産となったり,緊急帝王切開になった場合のように,本人の予期せぬ事態が起きて,結果として十分理解,容認される前に分娩となってしまうケースがあります.突然破水したり,早産になってしまうケースもあります. 胎児・新生児に異常がある場合もハイリスクです.妊娠中に胎児の奇形が見つかったり,早産未熟児のためにNICU(新生児集中治療室)で子どもが管理されているケースなどです.突然の胎内死亡や出生直後の新生児の状態悪化なども,母親の精神的なダメージが大きくなるため要注意です. 望まない妊娠・出産は大きなリスク因子の一つです.特に,若年妊娠や高齢妊娠などで,妊娠継続を悩んでいるうちに妊娠週数が進んでズルズルと出産となってしまったケースなどでは,その後の育児に対する気持ちなども最初から問題があるため,気