ブックタイトル神中整形外科学 23版 下巻
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神中整形外科学 23版 下巻
肘関節の骨格 a.上腕骨 円筒形の上腕骨が下部では三味線のバチのように扁平となり,その前方橈側(基本肢位では外側)に球を半分に切った形の上腕骨小頭が付着している.内側(尺側)では中央が浅い溝状になった(滑車溝)糸巻きのような滑車が下端に付着している. 内側では関節面からやや中枢に,上腕骨背面に接して内側に張り出した顕著な内側上顆があり,前腕の屈曲回内筋群の一部や内側(尺側)側副靱帯MCL(UCL,MUCL)の起始部となっている.内側上顆の隆起は回内力の増大および外反動揺性の抑制に関してモーメントの増大に役立っている. 外側(橈側)では,裾野が広くわずかに隆起した外側上顆があり前腕,手関節の回外伸展筋群,手指の伸展筋,外側側副靭帯の起始部となっている.外側の靭帯構造は複雑で外側側副靭帯複合体LCLcomplex を構成し,筋群起始部と協働しつつ外側支持機構として機能する. 下端の前後にはくぼみがあり,前方中央には尺骨の鉤状突起を受ける鉤突窩と,前方外側寄りに橈骨の厚い円盤状の橈骨頭に対応する浅い橈骨窩がある.後方中央には肘頭を受ける深い肘頭窩がある.肘頭窩と肘頭の適合は,体操の倒立などのような伸展時の骨性安定性を受け持つ.この前後の関節窩は労働,スポーツによる慢性刺激の結果,関節窩の肥厚,テーブル珊瑚状の骨棘形成により浅くなり,屈伸可動域低下の一因となる.b.前腕骨 屈伸の中心となる尺骨は基本的には真っ直ぐで,中枢端は糸巻き状の上腕骨滑車を受ける深いくぼみの滑車(半月)切痕を形成する.滑車切痕の中央部をやや斜走する山脈状の隆起は,上腕骨滑車溝に対向し,上肢の外反角carring angle を規定する.滑車切痕の末梢端は前方へ向かう鉤状突起で,肘関節の後方脱臼を抑制する.鉤状突起のわずか末梢に上腕筋が停止する粗造な尺骨粗面がある.鉤状突起基部橈側のくぼみは橈骨頭に関節する橈骨切痕である.先天性,あるいは発育期の受傷で長期間経過した橈骨頭脱臼ではこの切痕が浅くなり,整復術後の安定性の保持が困難となる.鉤状突起尺側の山脈状の隆起は鉤状結節sublime tubercle で,肘関節内側の安定性に最も重要な内側(尺側)側副靱帯(MCL)のなかの前斜走靭帯AOL が停止する(図5?9). 中枢端に厚い円盤を持つ橈骨は,骨幹部で緩やかな外側(橈側)凸の彎曲を持つが,上腕二頭筋が停止する橈骨粗面から中枢は約15° 外方(橈骨粗面の反対方向)へ傾斜している.橈骨頭の厚さ(環状関節面の高さ)は尺骨の橈骨切痕に接する部分(約2/3 周)は厚く,接しない(1/3 周)部分は薄い.この接しない部分は橈骨頚部骨折の内固定に小さなplate が使用可能なsafe zone である.右前腕を回旋中間位として中枢からみた場合,ほぼ1 時半から4 時半までの間がこれに相当する. 肘関節の構成 a.関節面の形態と機能 上腕骨下端関節面は正面からみて上腕骨軸に直交しているのではなく,滑車と小頭の回転中心軸は内・外上顆の頂点を結ぶ線から約6° 外反している(図5?9a).また下端からみれば,回転中心軸は内・外上顆の頂点を結ぶ線から5~7° 内旋している(図5?9b). 側面からみると上腕骨下端関節面は上腕骨軸から30~45° 前方へ傾斜しており,後方へ約30° 傾斜した尺骨の滑車切痕に対向し,屈伸軸の大部分を規制している(図5?9c,d).肘関節の屈伸軸が上腕12430 部位別疾患/第5 章 上腕と肘