ブックタイトル神中整形外科学　23版　上巻

概要

神中整形外科学　23版　上巻

の影響を受ける．自発痛や圧痛は炎症の存在するときに強く，運動痛は炎症の存在するときだけでなく関節破壊による構造的変化が起きているときにも生じる．四肢のすべての関節について疼痛の有無を調べ点数化した疼痛関節点数は，RA 活動性の1 つの指標となる．　 b ）関節動揺性：関節の腫脹が持続すると，関節包や靱帯の弛緩，あるいは関節破壊のために，関節の動揺性が出現する．関節端が著しく吸収され骨欠損を生じるRA をムチランス型RA と呼ぶ．指では，関節端が吸収されてその部の皮膚がオペラグラス様に伸縮する．これをopera?glass hand という（図②?55）．　 c ）関節可動域制限：初めは疼痛に対する反応性の筋緊張のために関節運動が制限される．続いて関節面の破壊，軟部組織の拘縮のために，関節運動が制限され，拘縮や強直が生じる．　 d ）関節変形：手指では，MCP 関節で指が尺側に傾く尺側偏位ulnar drift，PIP 関節が過伸展しDIP関節が屈曲したスワンネック変形swan?neck 変形，PIP 関節が屈曲しDIP 関節が過伸展したボタン穴変形buttonhole deformity，母指では，MCP 関節屈曲とIP 関節の亜脱臼を伴う過伸展によりZ 状変形Z deformity を生じる（図②?56）．手関節はほとんどの患者で障害され，尺骨遠位端の背側亜脱臼，月状骨の尺側偏位を伴った橈骨遠位端での手根の回旋がみられる．尺骨遠位端の背側亜脱臼による摩耗と腱鞘滑膜炎により，中・環・小指の伸筋腱断裂を引き起こす（図②?57）．腱鞘滑膜炎の侵食によるD．関節リウマチと類似疾患495図　②?55　 a ：ムチランス型RA の手指．b ：telescoping．伸ばしたところ．c ：telescoping．縮めたところ．ab c