ブックタイトル神中整形外科学 23版 上巻

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神中整形外科学 23版 上巻

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神中整形外科学 23版 上巻

b.治 療 局所再発をきたしやすいので広範切除が必要である.組織学的悪性度が高いもの(grade 3,4)では,肺などに血行性転移をきたしやすい.リンパ節転移はまれである.化学療法は行われているが,その効果はまだ十分に証明されていない.10年生存率は,grade 1,2 で約60%,grade 3,4 で約30%と報告されている.【15】  粘液線維肉腫 myxofibrosarcoma(図③?79) 2002 年WHO 分類では,従来,粘液型MFH とされてきた病変が粘液線維肉腫に改名され,線維性/筋線維芽細胞性腫瘍の範疇に入れられた. いわゆる線維組織球性腫瘍 so?called fibrohistiocytic tumor  2002 年WHO 分類では滑膜性腫瘍の範疇はなくなり,これまで滑膜性腫瘍に分類されてきた腱鞘巨細胞腫とびまん型巨細胞腫は,「いわゆる線維組織球腫」の範疇に移された.かつては核分裂像が目立つ病変に対し,悪性腱鞘巨細胞腫という概念が提唱されたが,現在はそのような病変も良性腫瘍として取り扱われている.【1 】  腱鞘巨細胞腫 tenosynovial giant cell tumor,giant cell tumor of tendon sheath(図③?80) 好発年齢は20~50 歳で,子どもには少ない.女性にやや多い.腱鞘,滑液包,手や足の小さな関節に黄褐色の結節状病変を形成する.手に発生する軟部腫瘍のなかで最多である.通常,痛みはなく,腱鞘周囲で緩徐に発育し,腫瘤を形成するが,大きさは数cm にとどまる.病変の局在は主として関節外であり,関節内へは絨毛状の発育を示さない.単純X 線では,病変の浸潤のために隣接骨の周辺硬化像を伴った骨吸収像を示す.MRI では,関節内,関節外の軟部腫瘤は,ヘモジデリン沈着のために,T1 強調画像だけでなくT2 強調画像でも,低信号域を示す.組織学的には,多核巨細胞を混ずる組織球様細胞の増殖を示す.治療は病変の完全摘出であるが,再発をきたすことがある.【2 】  びまん型巨細胞腫 diffuse?type giant cell tumor(色素性絨毛結節性滑膜炎 pigmented villonodular synovitis)a.診 断a )臨床所見:好発年齢は20~50 歳で,子どもには少ない.女性にやや多い.通常,多発することはない.発育は緩徐であるが,しだいに隣接骨や関節の破壊をきたす(図③?81).旺盛な増殖を示3710 全身性疾患/第3 章 骨・軟部腫瘍図 ③?79 粘液線維肉腫粘液状基質を背景に,紡錘形から多角形の線維芽細胞様の腫瘍細胞が散在性にみられ,スリット状の毛細血管を伴う.