ブックタイトル上肢臨床症候の診かた・考え方

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概要

上肢臨床症候の診かた・考え方

27中中中中中中中中中編 肩関節・上腕部Ⅰ後方からの視診では,まず肩甲骨の位置異常,翼状肩甲に注目する(図3a).肩甲骨下角が浮き上がっているときは前鋸筋麻痺を,肩甲骨が外側に偏位し内側縁が浮き上がっているときは僧帽筋麻痺を疑う.もうひとつ重要な所見は棘下筋の萎縮である(図3b).受傷後3 週以上経過した腱板断裂や肩甲上神経麻痺でみられる.触診も左右を比べながら,前方と後方とから行う.前方からは胸鎖関節,鎖骨,肩鎖関節を触診する.また上述のfluid sign が疑われるときは,a b図2  肩関節前方からの診察a :fluid sign.肩峰下滑液包の液貯留による.b :Popeye sign(右).上腕二頭筋長頭腱断裂による.abc図3  肩関節後方からの診察a : 翼状肩甲.23 歳男性.筋ジストロフィ.下垂位でも肩甲骨下角は浮き上がっているが(上段),上肢を挙上させると顕著となる(下段).b :棘下筋の萎縮.57 歳男性,腱板断裂.左棘下筋の萎縮が著明である.c :腱板の触診.肩関節を軽度伸展し,肩峰の前方で大結節のsuperior facet を触診する.