ブックタイトル上肢臨床症候の診かた・考え方

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概要

上肢臨床症候の診かた・考え方

5.Kienbock 病241中・高齢期編 手関節・手部Ⅲ程度を確認し,本例ではT1,T2 強調像で低信号,STIR 像で高信号を認めた.CT 検査(図3)で,掌背側の圧潰・硬化・分節化の程度の確認を行った.まず外固定による安静保持にて保存的治療を行い,改善傾向が見られなければ,手術的治療を検討していく旨を説明した.ポイント Kienbock 病は一般的には手関節単純X 線像で診断可能であるが,詳細な病状把握のためにはMRI やCT 像の追加も必要となる.MRI では骨壊死の場合,T1 強調像にて低信号,T2 強調像では壊死の進行度によって異なり,STIR 像では高信号を呈するのが一般的である.治療としてはまずは装具などを用いた手関節の安静保持や投薬などの保存的治療を行い,改善しない場合は外科的治療の適応となるが,その際にはLichitman分類,圧潰の形状などから手術法を決定していくことが一般的である.(森田晃造)参考文献1) 岩崎倫政他:Kienbock 病の診断と治療.MB Orthop,18(12):74─78, 2005.2) Lutsky K, et al:Kienbock disease. J Hand SurgAm, 37(9):1942─1952, 2012.3) Schuind F, et al:Kienbock’s disease. J Bone JointSurg Br, 90(2):133─139, 2008.a b c図2  MRI 像a:T1 強調(左),b:T2 強調(中央),c:STIR(右) 冠状断像.T1,T2 強調像ともに月状骨中央から軟骨下骨にわたる低信号像,STIR では高信号を認める.a b c図3  CT 画像a:冠状断像,b:矢状断像,c:3D─CT 像.月状骨の圧潰・分節化の程度,関節症性変化の有無が詳細に把握可能となる.3D─CT 像を作成することにより,より直感的に形状把握が可能となる.