ブックタイトル上肢臨床症候の診かた・考え方

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概要

上肢臨床症候の診かた・考え方

190第2 章 手関節・手部の臨床診断総論9. 手関節狭窄性腱鞘炎(de Quervain 病)?Finkelstein test検者が患者の母指とともに手関節を尺屈させる.疼痛が誘発されれば陽性であるが,健常であっても疼痛を訴える例はある.橈骨茎状突起,第1コンパートメント部の圧痛などの臨床症状と併せ,手関節狭窄性腱鞘炎の診断を下す(図20).?岩原・野末の徴候手関節最大掌屈位を保持した状態で母指自動伸展をしてもらい,疼痛誘発の有無を評価する.短母指伸筋腱の絞扼があると高率に陽性となる(図21).10. 尺骨神経麻痺?フローマン徴候(Froment sign)左右各々の母指と示指橈側で紙を把持し,引っ張ってもらう.尺骨神経麻痺(母指内転筋麻痺)では長母指屈筋が母指IP 関節を屈曲して押さえる代償運動(tip pinch)が生じる.すなわち,母指IP関節屈曲,指尖での把持,把持力低下をFromentsign 陽性とし,尺骨神経麻痺を疑う(図22).?cross finger test示指を中指に重ねる動作は骨間筋の働きによる.尺骨神経麻痺で骨間筋が機能していない例では指を重ねることができない.11. 舟状骨月状骨間不安定性?Watson test被験者の舟状骨結節を掌側から圧迫し,そのまま他動的に手関節を尺屈位から橈屈する.手関節橈側部に疼痛,クリックが誘発されれば陽性であり,舟状骨月状骨間の不安定性を示唆する(動画17).12. 内在筋麻痺?Bunnell intrinsic tightness test内在筋の麻痺がある例ではMP 関節伸展位ではPIP 関節は屈曲が制限され,MP 関節屈曲位ではPIP 関節屈曲可能になる.MP 関節が屈曲位よりも伸展位の時にPIP 関節屈曲が制限される場合にintrinsic tightness test 陽性とする(図23).図20   Finkelstein test検者が患者の母指とともに手関節を尺屈させ,疼痛が誘発さえれば陽性である. 図21   岩原・野末の徴候手関節を最大掌屈位を保持し,母指の自動伸展を行わせ,疼痛の出現を確認する方法である.EPB の絞扼がある場合に高率に陽性になる.図22   フローマン徴候a b図23   intrinsic tightness test