ブックタイトル下肢臨床症候の診かた・考え方

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概要

下肢臨床症候の診かた・考え方

2.足・足関節新鮮靱帯損傷215思春期・青年期(スポーツ障害・外傷含む) 編 足関節・足部Ⅲポイント 圧痛点は損傷組織の同定に最も重要な情報となる(図2).外果,内果といった体表から触れることのできるメルクマールを頼りに組織の存在部位を確認し,圧痛の有無で損傷組織を同定する.たとえば,前距腓靱帯は外果遠位から前方に向かい約1.5 cm の範囲に,距踵靱帯は同部位から遠位に向かい約3 cm の範囲に存在する.診察室での検査超音波検査において,前距腓靱帯は外果付着から約5 mm 遠位において連続性を失い,足関節底屈で緊張しなかった(図3).ポイント 超音波検査は,外来において骨組織や軟部組織の傷害をただちに動的に診断することができるツールである.前距腓靱帯は足関節底屈位で緊張するため,プローブを前距腓靱帯の走向に沿って置き足関節を底屈させることで正確に診断することができる 1).検査手順と次回受診のプランニングX 線検査は通常の2 方向撮影を行った.骨損傷を認めなかったため,荷重制限は行わず,足関節を軟性装具で固定した上で1 週間後の受診を指示した.ポイント 足関節靱帯損傷はその約90%が保存療法で速やかに治癒に至る 2).通常は,受傷後1 週で症状は軽減し,足関節前方引き出しテストは陰性となる.受傷後1 週経過時点で軽快傾向が認められない例では,靱帯の癒合不全や距骨骨軟骨損傷の合併が高率に存在するため 3),MRIなどの精査が必要となる.図3  超音波検査像前距腓靱帯は外果付着から約5 mm 遠位において連続性を失っている(白矢印).図2  圧痛点と損傷組織第5 中足骨茎状突起前距腓靱帯 第2中足骨踵腓靱帯踵骨腓骨筋腱外果三角靱帯浅層内果後脛骨筋腱踵骨三角靱帯深層舟状骨母趾基節骨外果前距腓靱帯距骨