ブックタイトル下肢臨床症候の診かた・考え方

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概要

下肢臨床症候の診かた・考え方

2142. 足・足関節新鮮靱帯損傷第3 章 足関節・足部の臨床診断各論問診(臨床経過)32 歳男性.2 日前,サッカー中に右足首を捻挫した.近位を受診し包帯固定を受けるも,疼痛が軽減しないため受診した.ポイント 「足首の捻挫」で外来を受診した場合,足関節の靱帯損傷だけでなく,足関節果部骨折,二分靱帯損傷(踵骨前方突起骨折),第5中足骨茎状突起骨折,腓骨筋腱脱臼などが単独または合併して発生している可能性がある.受傷時の肢位は損傷されている組織を同定する有力な情報となる.内がえし捻挫では,前距腓靱帯損傷,三角靱帯深層断裂,二分靱帯損傷,第5 中足骨茎状突起骨折が生じやすく,外がえし捻挫では足関節果部骨折,前下脛腓靱帯損傷や三角靱帯浅層断裂が発症しやすい.視 診足関節に腫脹があり,外果および内果遠位に斑状出血を認めた(図1).疼痛は伴うものの荷重歩行は可能であった.ポイント 斑状出血がみられた場合は,靱帯損傷や骨折などの重篤な組織損傷が生じている可能性が高い.靱帯損傷では歩行状態と重症度の関連性は低く,完全断裂であっても荷重歩行が可能な例も多い.身体所見足関節足部の可動域は疼痛のために底屈約30°と制限されていた.外果遠位端の前方および底側,内果遠位端の後方に圧痛を認めた.足関節前方引き出しテストは陽性で,足関節外側に疼痛が誘発された.外果内果図1  外果および内果遠位の斑状出血黒矢印は斑状出血を示す.