ブックタイトル下肢臨床症候の診かた・考え方

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概要

下肢臨床症候の診かた・考え方

3.離断性骨軟骨炎131小児期編 膝関節・下腿部Ⅱ検査手順と次回受診のプランニングX 線検査は,両側膝関節4 方向(膝関節正面・Rosenberg・側面・skyline)を行った.Rosenberg撮影・側面像にて大腿骨内顆関節面に軽度骨透亮像を認め,離断性骨軟骨炎を疑い,CT/MRI 撮影後の受診を指示した(図1).ポイント 骨形成程度は症例により異なるため,両側比較が重要である.特に荷重部病変は,膝正面では確認困難だが,Rosenberg 撮影で比較的確認可能である.滑車部病変は,skyline もしくは側面でしか確認できず,注意を要する(図2).X 線検査で検出困難でも,CT/MRI にて検出可能な場合もあり,疼痛継続する場合は撮影を考慮するべきである.CT は,関節軟骨の把握は困難だが,病変の範囲・安定状態・病巣内部の骨化状態の把握に有用であり,MRI は関節軟骨の状態把握が可能であり,CT/MRIはともに必要不可欠な検査である 1).本症例の確定診断Rosenberg 撮影・側面像にて,大腿骨内顆に骨透亮像を認め(図1),CT に軟骨下骨欠損像,MRI において関節軟骨の連続性と,病変内部は軟骨と同輝度である所見を認め(図2),軟骨下骨欠損タイプの離断性骨軟骨炎 2)と診断した.保存療法を第一選択として,無効であれば手術療法を次に予定するが,患児・保護者・コーチの相互理解が重要である 3).(米谷泰一)参考文献1) 米谷泰一,堀部秀二:膝離断性骨軟骨炎に対する保存療法ならびに骨穿孔術の有効性と限界.MB Orthop,25(2):49─56,2012.2) Yonetani Y, et al.:Histological evaluation of juvenileosteochondritis dissecans of the knee:a caseseries. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 18(6):723─730, 2010.3) Cahill BR, et al.:The results of conservative managementof juvenile osteochondritis dissecans usingjoint scintigraphy. A prospective study. Am JSports Med, 17(5):601─605, 1989.abc図1   膝関節正面(a),Rosenberg撮影(b),側面像(c)大腿骨内顆に骨透亮像を認める.図2  CT(矢状断像にて軟骨下骨の欠損を認める)MRI(矢状断像T1 強調画像,T2 *強調画像.病巣内部は関節軟骨と同輝度であり,関節軟骨の連続性は良好である).