ブックタイトルベッドサイドの高齢者運動器の診かた
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ベッドサイドの高齢者運動器の診かた
132 第Ⅱ章 高齢者運動器疾患の診かたhomologue,掌・背側遠位橈尺靱帯,尺骨月状骨靱帯,尺骨三角骨靱帯が挙げられる.TFCC の立体構造は全体としてハンモック状を呈し,関節円板を吊り上げる構造である.近位には尺骨小窩fovea より扇状に広がり掌背側遠位橈尺靱帯の深層となり,橈骨の尺骨切痕に停止する三角靱帯を認める.TFCC 辺縁の靱帯部分の血行は豊富だが,関節円板の血管分布は周辺部10 ?40%に限られる(図3) 2).正確な単純X 線撮影正面像で,橈骨遠位端の高さと尺骨遠位端の高さを比べ,尺骨が長い場合は尺骨プラス変異(plus variance),短い場合は尺骨マイナス変異(minus variance)という.これらのバリアンスは手関節の痛みと深く関連がある(図4).尺骨プラス・変異であれば,尺骨手根関節にかかる圧力が増加し,尺骨頭の関節面および月状骨や三角骨の関節面にストレスが加わり,疼痛の原因となる.爪は指尖部の保護と掌側の皮膚を支持して,指先の機能の巧緻性を高めている.爪甲は爪母から形成され,爪床の上を1 日に0. 1 mm 伸びて遠位に移動する.爪床は血管や神経終末が分布し,爪甲に水分を供給する.指腹には末節骨の骨膜から表皮まで15 ?20 の結合組織の強靱な隔壁があり,閉鎖された小?に分かれている.手部・手関節の診察法手部・手関節の診察は機能解剖の理解が重要で,問診や触診を中心に診察を行い,疾患や傷害部位を絞りこみ,適切な検査や画像診断へと進めていく.手関節の良肢位は,物をつかむ手関節10 ?20°背屈位である.指は軽くボールをつかむような軽度屈曲位で,母指は対立位とする.MP 関節の完全伸展位,母指の内転位は起こりやすい不良肢位である.?中高年者の手関節の診断フローチャート手関節の診察は,圧痛部位を同定することで解剖学的に患部の部位を特定する.橈骨,尺骨の骨折,遠位橈尺関節の脱臼の有無を確認する.さらに手関節橈側の痛みがある場合はde Quer尺側側副靱帯三角靱帯関節円板掌側橈尺靱帯掌側橈尺靱帯尺骨小窩(fovea)図3 TFCC の解剖図4 尺骨の橈骨の遠位端の高さa:尺骨プラス変異;plus variance.b:変異なし;zero variance.c:尺骨マイナス変更;minus variance.a b c