ブックタイトルベッドサイドの高齢者運動器の診かた
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ベッドサイドの高齢者運動器の診かた
各部位から捉える高齢者運動器の診かた ─ 手関節・手部─ 131深部が手根管である.有鉤骨鉤とその尺側の豆状骨との間には尺骨神経管( Guyon 管) があり,尺骨神経と尺骨動静脈が走行する(図1).手関節背側中央部に橈骨のLister 結節が触知される.その尺側に長母指伸筋腱が走行し,伸筋腱鞘第3 区画が位置する.長母指伸筋腱の尺側に第4 区画があり,総指伸筋腱と(固有)示指伸筋腱が走行する.手関節背側,とくに月状骨の位置に圧痛が強い場合,Kienbock 病を疑う(図2).手関節の橈側に橈骨茎状突起が触知される.その1 cm 程度遠位に母指手根中手関節〔carpometacarpal(CM)関節〕が触知できる.母指CM 関節症の場合同部の腫脹,突出を認める.母指伸展時の長母指伸筋腱と短母指伸筋腱に囲まれた嗅ぎたばこ窩anatomical snuff box(snuff box)と呼び,この深部に舟状骨がある.同部に圧痛がある場合,舟状骨骨折や偽関節の可能性がある.またsnuff box の遠位部に圧痛がある場合,母指CM 関節症や舟状大菱形小菱形骨間scapho─trapezio─trapezoid(STT)関節症が疑われる(図1).?基本解剖手における骨の構成は8 個の手根骨,5 個の中手骨,14 個の指骨からなる.これらの骨は矢状断面で縦アーチを形成し,横断面においては手背凸の横アーチを形成しており,このアーチを保つことが手の運動機能上重要であり,治療の目標となる.手根骨は舟状骨,月状骨,三角骨,豆状骨からなる近位手根列と,大・小菱形骨,有頭骨,有鉤骨からなる遠位手根列を形成する.近位と遠位の手根列の間を手根中央関節という.手の正面X 線像において近位手根列の近位の線と遠位の線,遠位手根列の近位の線と遠位の線が正常であれば滑らかな弯曲を形成する.それが滑らかでなければ手根骨の脱臼や骨折を疑う 1).指の関節は遠位より遠位指節間関節〔distal interphalageal(DIP)関節〕,近位指節間関節〔proximalinterphalangeal(PIP)関節〕,中手指節関節〔metacarpo─phalangeal(MP)関節〕からなる.これらは顆状関節で掌側には掌側板と呼ばれる線維軟骨がある.関節には側副靱帯があり,膜状の副靱帯と索状の側副靱帯からなっている.手根中手関節は,遠位手根列と第2 ?5 中手骨近位端との間の関節で,掌側,背側に6 本ずつ靱帯が存在する.第2・3 CM 関節はほとんど可動性を持たないが,第4・5 CM 関節は可動性を有する.母指CM 関節は第2 ?5 CM 関節とはまったく異なり,鞍状関節である.母指の屈曲・伸展,外転・内転運動の組み合わせで回転運動を行う.複雑な運動が可能であるがゆえに,変形性関節症になりやすい.手関節尺側の尺骨手根関節の関節円板を含む靱帯構造を三角線維軟骨複合体triangular fibro─cartilage complex(TFCC) という.TFCC の構成成分は関節円板disc proper,meniscus1 長母指外転筋2 短母指伸筋3 長橈側手根伸筋4 短橈側手根伸筋5 長母指伸筋6 (総)指伸筋7 示指伸筋8 小指伸筋9 尺度手根伸筋i:背側結節(Lister 結節)12345 6 789ⅠⅡⅢ Ⅳ Ⅴ Ⅵ?橈骨尺骨図2 6 つの伸筋腱区間(Ⅰ~Ⅵ)(下橈尺関節レベル)