ブックタイトルベッドサイドの高齢者運動器の診かた
- ページ
- 2/14
このページは ベッドサイドの高齢者運動器の診かた の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ベッドサイドの高齢者運動器の診かた の電子ブックに掲載されている2ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ベッドサイドの高齢者運動器の診かた
─ 72 ─A 診察法問 診主訴を平易な言葉で確認する.痛みやしびれのある場合,それらの性質と部位,安静時の症状の有無,動作や姿勢による症状の誘発・増悪の有無を聞く.発症にいたった誘因の有無も確認する.視診,触診a)脊 柱1)姿 勢成人の基本的立位姿勢の前額面 ※ 1 でのよいアライメント ※ 2 は,背面からみて,後頭隆起,椎骨棘突起,殿裂,両膝関節内側の間の中心,両内果の間の中心という各指標が垂直線上にあることをいう(図1a).アライメントが正常でない場合は,第7 頚椎棘突起から下した垂線が殿裂中央を通らない.垂線と殿裂間の距離を傾き(リストlist)と呼び,距離(cm)(図2a)で表示し,アライメントを評価する簡便な指標として使用される.側弯では回旋変形を伴うことから, 前屈位で背側を観察すると肋骨や腰部の後方への隆起hump がみられる(図2b).肩の高さの違い,腰のくびれの左右差(図2a)にも注意する.側面からみた矢状面※ 3 では,頚椎は前弯,胸椎は後弯,腰椎は前弯のパターンをとる.よいアライメントは,垂直線が,耳垂やや後方の乳様突起,肩峰,大転子(ときにそのやや後方),膝関節中心のやや前方,外果の前方を通る(図1b).重心線が支持基底面 ※ 4 の中央を通る場合(図3),姿勢は安定である.よいアライメントでは立位保持に必要な筋活動が最も少なく,エネルギー消費は最小となる.側面からは胸椎部の円えんぱい背(胸椎後弯の増強した状態)(図4c),腰椎部の生理的後弯消失に注意する.胸椎の後弯の増強は脊椎の圧迫骨折が,腰椎での生理的後弯消失の原因は椎間板変性と圧迫骨折による場合が多い.これら変形の頭側や尾側では代償性の弯曲を生じる.脊柱部で代償できない場合は,骨盤,股関節,膝関節部での代償が起こり,腰椎の後弯では骨盤の後傾を生じる.膝関節での代償性の膝屈曲角が一定以上になると,立位保持が困難となり,手を膝の上に置き,バランスを保持するようになる(図4d).全身から捉える高齢者運動器の診かた1