ブックタイトル骨折・脱臼 改訂4版

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概要

骨折・脱臼 改訂4版

2 肩鎖関節脱臼  731肩鎖関節あるいは烏口突起・鎖骨間の固定にKirschner 鋼線,フックプレート,スクリューを用いた場合は術後8~12 週に抜釘する.以上の手術は直視下,あるいは鏡視下,関節鏡のサポート下で行われる.動的な安定性を得る烏口突起を共同腱conjointtendon ごと鎖骨外側端に移行し固定するDewar 法は,長期成績が不良であることが明らかになった.陳旧例で烏口突起・鎖骨間が安定し肩鎖関節不安定性が軽度のものでは,残存する症状に対して4~8 mm の鎖骨遠位端切除術や関節円板切除術も有効であるが,安定性がない場合に行うと鎖骨外側端の前後や上下方向の不安定性を増加させるので,烏口肩峰靱帯移行や靱帯再建術を併用すべきである.後療法は解剖学的再建では,肩鎖関節,烏口鎖骨間隙に加わる重力を軽減するためスリングを使用し,術後1~3 週から徐々に可動域訓練,4 週から等尺性運動を開始する.6 週でスリングを除去し,12 週から筋力増強訓練を行い,4~6 ヵ月からすべての活動を許可する.肩鎖関節,烏口突起・鎖骨間固定術後はスリングで2~3 週固定後,挙上を90°以下に制限して可動域訓練を開始し,6~8 週はスリングを使用し,8~12 週後に抜釘したら自・他動で制限を解除した全範囲の可動域訓練を開始する.可動域と筋力が十分に回復したらスポーツや重労働への復帰を許可する.acbd半腱様筋腱人工靱帯図14-2-10 再手術時に用いた靱帯再建術(26 歳,男性)受傷後5 年経過した陳旧例で,鎖骨外側端切除と烏口肩峰靱帯移行と烏口突起・鎖骨間のネスプロンテープ締結(Kirschner 鋼線等での固定は併用せず)を行ったが,術後8 週で再脱臼した(a).烏口突起下と鎖骨の1 つの骨孔の間に人工靱帯を通し,採取した半腱様筋腱を烏口突起基部にあけた骨孔と鎖骨の2 つの骨孔の間に通した(b).2. 0 mm Kirschner 鋼線2 本で肩鎖関節を整復固定後,人工靱帯を縛り,移植腱を腱同士および肩峰前縁に縫合した(c).術後3 ヵ月でKirschner 鋼線を抜去した.術後1 年の単純X 線写真(d).