ブックタイトル骨折・脱臼 改訂4版

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概要

骨折・脱臼 改訂4版

- 31 -1 骨折の定義(用語)骨折fracture とは,直達外力もしくは介達外力によって骨(組織)が解剖学的連続性を断たれた状態をいう.直達外力とは損傷部位に直接作用する外力であり,介達外力とは筋肉,腱,靱帯などを介してまたは軸圧により間接的に作用する外力をいう(尻もちをついて胸腰椎移行部で椎体の圧迫骨折が生じるなど).骨とともに関節軟骨が連続性を断たれた状態を骨軟骨骨折osteochondral fracture,小児で成長軟骨板growth plate が損傷された状態を骨端線損傷epiphyseal injury, または骨端離開epiphyseolysis という.骨折に関節の脱臼を伴う場合を脱臼骨折fracture dislocationと定義する.以上の定義は症候と単純X 線写真の所見に基づく.明らかな外傷の既往と愁訴があるが,従来の単純X 線写真では骨折が認めにくく,MRI や骨シンチグラフィーで骨皮質や骨髄の亀裂あるいは関節面の不連続性などの異常所見が描出できる骨折を不顕性骨折occult fracture という(図2-1-1).不顕性骨折は骨折治癒の進展とともに,形成された仮骨の陰影を単純X 線写真で確認できる(図2-1-2).骨折の定義(用語)と分類第2 章単純X 線写真図2-1-1 不顕性骨折のMRI単純X 線写真では明らかな骨折はないと診断されたが,MRI で脛骨外側顆に骨皮質の亀裂と骨髄内の骨折線が確認された(矢印).