ブックタイトル国立がん研究センターの乳癌手術

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概要

国立がん研究センターの乳癌手術

76ルート2:大胸筋外縁操作(大胸筋外縁から小胸筋外縁へ)● 乳房切除術の場合には,乳房を反転させて尾側は腹直筋前鞘から大胸筋外縁に到達する(図13).大胸筋外縁には血管が多数存在するので,結紮切離を繰り返す.大胸筋外縁からは,助手が大胸筋を牽引することにより小胸筋外縁に導かれ深筋膜に覆われた大胸筋外側支配血管が観察できる(図14).大胸筋外側支配血管と下胸筋神経の温存(レベルⅠ浅層郭清)● 大胸筋外側支配血管は腋窩静脈に流入しており,胸筋枝を除く全ての枝を結紮,切離する(図15).また伴走する下胸筋神経も温存する.ここでは,バイポーラ- メッツエンも併用する.これを損傷すると大胸筋の外下半分程度が萎縮してしまうので注意をする.大胸筋外側支配血管の剥離と併せて小胸筋の付着部まで外縁を剥離する.続いて烏口腕筋表面の脂肪組織を頭側より尾側(下方)に落とし,烏口腋窩筋膜(深胸筋膜)を切開すると腋窩静脈の表面が広背筋前縁より小胸筋外縁まで露出される.外側胸動静脈など腋窩静脈下縁で血管を処理しレベルⅠリンパ節の浅層郭清を終了する(図16).図14 小胸筋外縁操作大胸筋を内側に牽引する.小胸筋外縁の筋膜を電気メスで切離する.図13 大胸筋外縁操作多くの血管は結紮処理していくと筋肉の損傷が防げる.