ブックタイトル血管外科 基本手技アトラス 改訂2版
- ページ
- 4/10
このページは 血管外科 基本手技アトラス 改訂2版 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 血管外科 基本手技アトラス 改訂2版 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
血管外科 基本手技アトラス 改訂2版
2 外側後方経路①腓骨神経損傷は絶対に避けなければならない.②他のアプローチでは非常に深い位置に存在することになる前脛骨動脈弓に到達しやすい.③切除した腓骨は再接合する必要はない.④下腿3動脈すべてに,直接に到達可能. 腓骨動脈だけではなく,膝窩動脈遠位部および前・後脛骨動脈中枢部へのアプローチとしてこの方法がとられることがある.難点としては腓骨を切離・除去しなければならないことであるが,術野確保という点からは優れた方法である. 患側の膝関節を屈曲させ,内転させる.患肢は固定しておくことをお勧めする.大腿二頭筋腱付着部あたりより皮膚切開を始め,膝関節の後方,さらには腓骨後縁に沿って末梢側まで進める(図Ⅰ-37 A).腓骨頭を挟んで中枢・末梢側に約5cm ほど皮膚切開をおくと術野の展開がしやすい.この際,腓骨頭の中枢では大腿二頭筋腱を目安にし,末梢では腓骨頭とヒラメ筋を分けている溝を目安にするとよい.この溝は腓骨筋と下腿筋との間の裂溝である. 皮膚切開を置き,浅筋筋膜を切開すると大腿二頭筋の内側縁で深筋筋膜に当たるので,これを二頭筋腱に沿うように切開していけばよい.大腿二頭筋および長腓骨筋を前方へ引くと総腓骨神経が見えるので,これを血管テープなどで愛護的によける.その際に腓腹筋を下方へ引いておくとさらに術野の展開が容易になる.術野にはヒラメ筋が同定できるので,これを腓骨付着部より外すと腓骨外側が明瞭になる.ただ,腓骨内側面に膝窩動脈,tibioperoneal trunk,腓骨動脈が固着しているので,これらを損傷しないように注意する必要がある.腓骨を周囲組織より十分に剥離できたら腓骨の切除を行う(図Ⅰ-37 B).腓骨の切除が完了すると術野に膝窩動脈遠位部,前脛骨動脈,tibioperoneal trunk,後脛骨動脈,腓骨動脈が見える.骨切除の際には,骨断端が周囲組織を損傷することないように,ヤスリなどでスムーズな面にしておくことがコツである(図Ⅰ-37 C,D).42 Ⅰ.局所解剖学からみた血管露出法