ブックタイトル肛門疾患

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概要

肛門疾患

側の内括約筋,皮下外括約筋を適宜切除してドレナージを形成する術式を原則的に行っている(再発率2/35例,5.7%).a)低位筋間痔瘻を合併している場合 ① 低位筋間痔瘻の瘻管の剥離:低位筋間痔瘻に対するfistulectomy によるlay open 法を行う要領で,二次口から原発巣までの瘻管を剥離する.皮膚切開は二次口ぎりぎりではなくやや大きめにする(図7-100?102).原発口に近づいたら原発口に左手示指をあてがっておくことは,痔瘻手術の基本である. ② 原発巣の開放:原発巣に到達したら,原発巣をコッヘル鉗子で把持して,原発巣の外側をpiecemeal に切除する(図7-103).すると不良肉芽が出現し,原発巣口側の高位筋間痔瘻の瘻管を確認することができる( 図7-104). ③ 高位筋間痔瘻の瘻管の切除:高位筋間の瘻管壁の外側(直腸壁側でない部分)をコッヘル鉗子で把持してその部分もpiecemeal に切除する(図7-105).瘻管の完全切除を求めるのではなく,可及的な切除でよい.不良肉芽が多いときには鋭匙で掻爬する.これにより高位筋間痔瘻を皮膚側に開放したことになる(図7-106). ④ 一次瘻管,原発口の処理:開放された原発巣から一次瘻管を原発口に向かって開放する.一次瘻管は原発口から頭側に向かっていることを念頭におく必要がある.フック型のゾンデを原発巣から原発口に向かって挿入すると,多くは容易に貫通させることができる( 図7-107?109).ゾンデを挿入後,底部の内括約筋を損傷しないように瘻管の手前側を開放すると一次瘻管を開放することになる.引き続き原発口より外側を切離して原発口を開放する(図7-110). ⑤ 瘻管の切除:剥離された低位筋間痔瘻の二次瘻管を,図7-107 高位筋間痔瘻根治手術 ⑧原発巣から原発口に向かってフック型の専用ゾンデを挿入(写真下が12 時方向).図7-106 高位筋間痔瘻根治手術 ⑦開放された原発巣と高位筋間痔瘻.開放された原発巣不良肉芽図7-109 高位筋間痔瘻根治手術 ⑩原発口から出てきたゾンデの尖端(写真下が12 時方向).図7-108 高位筋間痔瘻根治手術 ⑨多くは容易に原発巣から一次瘻管を通り原発口までゾンデを挿入することができる.成人の肛門周囲膿瘍と痔瘻131