ブックタイトル症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療

ページ
7/8

このページは 症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療

54A  顔面・頭部の疾患症例解説問診のポイント 患者・家族に三叉神経痛は強い痛みの一つであると説明する.患者が訴える尋常でない痛みを本人以外が理解することは難しいため,その痛みが真実であることを患者の家族が理解できるように説明することが重要である.この電撃痛はQOLを著しく低下させるため,迅速で確実な診断・治療が要求される.名医になるかどうかはっきりする疾患である.典型的な症例は比較的容易に診断されるが,時に難渋する症例の場合もある.十分な問診が最も重要である.疼痛部位,疼痛誘発因子,痛みのパターン,トリガーポイント,間欠期などを確認し痛みの性質を把握する.顔面の知覚低下などの感覚異常,めまい・耳鳴り・聴覚障害などの随伴症状が認められる場合には,症候性三叉神経痛を疑い精査する.このような症状がない場合も,鑑別診断のため頭部MRI・CT検査などは施行する必要がある.除外診断を怠らないことは大切である. 激痛を訴え受診することが多いが,診断がついたあとは患者とその家族に必ず痛みをコントロールすることができるため焦る必要はないことを説明し,順序立てて治療を行う.また,疼痛発作期間には間欠期があり,ずっと激痛発作が継続することはないこと,生命に危険がないこと,すなわち治療に手遅れはないことを伝える.治療 治療には,①薬物療法,②神経ブロック療法,③外科的療法,④ガンマナイフ療法など種々の方法があることを伝え,まず薬物療法から開始する.第一選択薬はカルバマゼピンである.クロナゼパム,ガバペンチン,プレガバリン,バクロフェンなども使用される.薬剤による副作用を説明のうえ,処方する.食後に内服を指示することがあるが,痛みは食事で誘発される場合が多く,その際は誘発動作の前に内服するよう指導する必要がある.また,一般的な消炎鎮痛薬ではなく鎮痛補助薬であることも患者にきちんと説明し,十分な理解を得ることが重要である. 以前,保険薬局で「てんかんの薬」と説明され,筆者のところへ処方医への怒りを訴えて受診した患者がいた.いくら処方医が正しいことを伝えても,その医師のところへ戻ることはなかった.確実な診断と適切な治療,的を得たわかりやすい説明が重要である.医師しびれているうちは受診しなくてもよいので,痛みが出たらまた受診してください.患者(納得のいかない表情でうなずかない)医師一応2ヵ月後に予約入れておきますか?患者よろしく! 半年経過するも疼痛コントロールは良好.受診間隔をあけながら経過観察中.外食を楽しみながら1人で気ままに生活している.(樋口比登実)