ブックタイトル症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療

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症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療

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症例から学ぶ 戦略的慢性疼痛治療

44A  顔面・頭部の疾患既往歴 国立大学出身.一流企業勤務.65歳定年退職. 5年前:2型糖尿病[グリメピリド(アマリール?)内服中],左難聴著明(未治療). 2年前:無症候性脳梗塞[MRIにて確認,低用量アスピリン(バイアスピリン?)内服中]. 4 ヵ月前:記銘力低下のため神経内科受診(意欲低下・外出しない,5 分前の記憶も不確実).MRI(海馬萎縮),脳血流シンチ(帯状回血流減少)よりアルツハイマー型認知症の疑い.認知機能検査(MMSE)28点.現病歴 2年前からときどき顔面痛発作あり.初発年齢84歳?.疼痛部位 左上唇,頬,上顎?.疼痛発作 食事,洗顔,髭剃り,会話などがトリガーとなり電撃痛が走る.2年前より疼痛発作はあったが,特に治療することもなく,何となく軽快していたので気にしていなかった.しかし,今回はなかなか軽快せず,どんどんひどくなる一方で,食事量も減少し,会話も減少した?.経 過 今回の疼痛発作発現後,何ヵ所も歯科医を受診したが,特に問題ないといわれ,入れ歯の調整と,疼痛時のNSAIDs処方があるだけであった. X年5月:T大学病院口腔外科受診.口腔外科的には特に異常ないとの診断を受けた.? 発症年齢は高齢.特発性三叉神経痛は男女比1:1.5と女性に多く,発症年齢は50代以降が多い(平均:男性51.3歳,女性52.9歳).? 顔面デルマトーム:左V2領域図示.部位: 第2枝領域が最も多く(38.1%).次いで第3枝(35.2%),第2・3枝合併(14.9%),第1・2枝合併(5.3%),痛みが第1枝領域に限局することはまれである.右側に多く認められるが,3 ?5%が両側である.両側は非常にまれであり,その場合は中枢性疾患の関与を考慮する.? 当科受診まで三叉神経痛(TN)の診断をうけていない.典型的な痛みと捉えられてなかった.典型例は問診で診断可能:洗顔・歯磨き・髭剃り・会話・食事などに誘発される耐え難い電撃痛,数十秒?1,2分単位の発作痛,夜間は痛みで目が覚めることは少ない,入浴は楽なことが多い(表4-1).症例4三叉神経痛症 例主 訴86歳男性.痛みで食事ができず体重減少,抑うつ傾向.本人?顔が痛くて食べられない,話せない.妻? 痛みで食事ができず,どんどんやせていくのが心配.いつもうな垂れていてうつ病のよう.こんな人ではなかった.薬物治療例初 診 時