ブックタイトル硬膜外無痛分娩 改訂3版

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概要

硬膜外無痛分娩 改訂3版

Ⅱ 硬膜外無痛分娩の実践64がある.そのようなやり方に助産師が慣れるまでは,麻酔科医も分娩に立ち会い,よく説明し,時には努責を介助する必要がある.まずは陣痛計が正しく装着され陣痛曲線がきれいに描けていることを確認する.産婦が曲線のピークのみで陣痛を感じている場合,そこから努責を開始させるのではタイミングが遅れていることになる.陣痛曲線の立ち上がり頃から深呼吸を開始し,ピークには十分努責をかけているようにする.あるいは触診で,お腹が堅くなり始めたら努責を開始する.1 回の陣痛で,2 回は息こらえ(Valsalva 法)ができるはずである.努責を効果的なものにするコツ(下肢をパタンと開く,目は開ける,口を開けない,顔をしかめないなど)は,無痛分娩を受けていない産婦とまったく同様だが,硬膜外鎮痛を受けていると痛みで必死に努責をすることがないため,真剣に努責できない産婦が時に見られる.産婦が真剣に努責するように,こちらも一生懸命に息んでみせる.産婦がまったく無感覚で,いつ陣痛がきたかわからない場合は,こちらがいくらがんばっても産婦がうまく努責できないときがある.このような場合,産科医や助産師からは持続注入を止めるよう求められがちである.確かに分娩第2 期まで十分な鎮痛を提供すると,鉗子・吸引分娩が増加するのは事実である 43).しかし分娩第2 期になると自動的に持続注入を止めるのは,鎮痛を提供する無痛分娩の目的を満たせなくなってしまう.また,持続注入を完全に止めてしまうと,痛みが戻ってきた場合,再度その痛みを取り除こうとしたり,帝王切開術のために麻酔範囲を広げようとした場合に,うまくいかないことが多いと経験的に言われている.したがって,努責したい感じを産婦に取り戻すには,持続注入の速度を減らすにとどめるのがよい.持続注入を減らすと,痛みが次第に戻ってくるが,強い痛みとなる前に娩出に至れば産婦の苦痛はあまり大きくならない.持続注入を減らすだけではやはりうまく努責できなかったり,第2 期があまりに長引いたりするようなら,持続注入を止める場合もある.しかし鉗子分娩となる場合は,硬膜外カテーテルより局所麻酔薬を注入して鎮痛を図る.努責感は経腟分娩の成功に不可欠なものではないが,その感覚が保たれればタイミング取りが容易なのも事実である.産婦の陣痛の感じ方に応じて,持続注入の速度や濃度を微調整するのは,分娩に麻酔科医が立ち会っていればこそできることである.h.下肢が動かない産婦は局所麻酔薬に対して感受性が高まっており,0. 25%マーカイン R でも運動神経遮断効果の現れる産婦は少なくない.以前使用していた0. 125%マーのコツ努責指導