ブックタイトル硬膜外無痛分娩 改訂3版
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硬膜外無痛分娩 改訂3版
Ⅱ 硬膜外無痛分娩の実践48持続硬膜外注入中の放散痛硬膜外カテーテルが神経根を刺激すると,片側の下肢や腰部に放散痛paresthesiaを生じる.カテーテル挿入時に見られることが多いが,持続硬膜外注入中も,低濃度局所麻酔薬を用いているためか,放散痛を訴えた産婦があった.ただちに硬膜外カテーテルを抜去したところ,放散痛は消失した.そこで再度硬膜外カテーテルを挿入することにしたが,すでに感覚神経が局所麻酔薬によりある程度遮断されている状況でカテーテルを挿入し,万が一神経根を刺激したとしても,放散痛を訴えてくれないのではないかとの懸念があった.これは脊髄くも膜下麻酔において,1 回の注入で麻酔範囲が十分ではなかった際に,再度穿刺して局所麻酔薬を注入する際の心配にも通じる.すでに存在する感覚神経遮断が,放散痛をマスクしてしまう懸念がある.この産婦の場合は,再挿入の際にも放散痛を訴えたため,カテーテルの位置を調整して放散痛が消失した後にカテーテルを固定して無痛分娩を再開することができた.C OL UM N11g.持続注入中の血管内誤注入持続硬膜外注入中にカテーテルが血管内に迷入した場合の所見は,ボーラス注入の場合と異なっている.耳鳴や金属味,口周囲のしびれ感が現れる前に,鎮痛効果が消失してくることが多い.低濃度局所麻酔薬とオピオイドのこのような組み合わせでは,硬膜外腔に投与されればこそ鎮痛効果をもたらすのであり,持続静注しても鎮痛効果は十分なものではない.持続硬膜外注入中に次第に鎮痛効果が消失してきたら,麻酔範囲を調べると共に,カテーテルの吸引をしてみることである.麻酔範囲が消失していたり,血液が吸引されたりしたら,耳鳴などの症状が出現する前にカテーテルを抜去して,新たに挿入しなおす.h.持続注入中のくも膜下誤注入硬膜外持続注入中にカテーテルがくも膜下腔に迷入した場合は,両下肢がまったく動かせなくなることで気づかれることが多い.一方の脚だけが重いのであれば,局所麻酔薬の効果に左右差があるものと推定できるが,両下肢ともまったく動かせないとなると,局所麻酔薬がくも膜下腔に投与され,脊髄くも膜下麻酔となっている可能性が高い.そこで麻酔レベルを調べてみると,T4まで及んでいたりする.血圧も低くなりがちで,カテーテルを吸引すると髄液が得られる可能性がある.その場合にもカテーテルを抜去し,麻酔範囲がある程度減少して産婦が痛みを訴え始めてから,硬膜外カテーテルを再挿入する.その間の鎮痛は十分なはずである.