ブックタイトルベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版

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概要

ベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版

160第Ⅱ章 新生児の観察と処置 正期産で特別な治療を要さない児では産科病棟内で母親と過ごす.多くの病院では母親のベッドが壁についていない,ベッド柵が不十分であるために落下の危険があるなどの理由から添い乳の時以外は同床を避け,児をコットに寝かせてベッドサイドに置くというスタイルが取られている.コットを置く場所は地震などの振動で上から物が落下してこない場所,直射日光が当たらない場所,冬季では窓際の気温が低くなりやすい場所を避けるなどの注意は必要である.これは産科病棟入院中だけでなく自宅に帰ってからも当てはまることである. 施設環境としては,室温は外気温に関係なく20~22℃程度で乾燥しすぎない環境がよいといわれている.照度についてはJIS 照度基準では分娩室で300~750 ルクスと比較的高く,病棟で150~300 ルクス程度となっている1).夜間は消灯するが母子の観察など必要時にはその場所のみ点灯できるようにしておくとよい. 感染対策としては正期産新生児においてもスタンダード・プリコーションを行う必要がある.新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)とは異なり処置や採血の機会は少ないが,胎脂,唾液,尿,便などの分泌物に曝露される機会が多くあり,医療従事者の曝露,ほかへの伝播を予防しなければならない.具体的には患者に触れる前,触れた後に流水もしくはアルコールにより手指衛生を行う,聴診器や体温計はできる限り個別に配置し共有しないようにする,十分な個数がない場合には新生児ごとにアルコールなどで消毒し,新生児間の感染を防ぐなどしなければならない.エビデンスはないが診察時などでコットが並べられるときには,コットとコットの間を30~60 cm 以上離しておくとよいといわれている.しかし本来は母子を訪床できるのであれば訪床し,母親から児を離すことなく診察をしたほうが感染予防の観点からもよい.Ⅶ 入院中の管理1. 産科病棟での新生児の環境? 正期産で特別な治療を要さない児では出生直後から24 時間母子同室を行う.? 母子同室のメリットは母親の退院後の不安が少ない,母乳育児に有利,母子の絆が深まる,水平感染を防げる,災害時・緊急時に安全に避難しやすいなど数多く知られている.? 出生直後は呼吸・循環動態がダイナミックに変化する時期であり,急変する可能性がある.早期母子接触の有無にかかわらず母子の観察を怠ってはならない.? 早期母子接触は日本周産期・新生児医学会など8 団体から出された留意点を参考に各施設に適した方法で行う.要点