ブックタイトルベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版

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概要

ベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版

70第Ⅱ章 新生児の観察と処置 現在,日本では日本版新生児蘇生法(NCPR2015)に則って,臨床現場での新生児蘇生を行うことが求められている.この新生児蘇生法の実際の項は,このNCPR2015 に準じて述べる.1 ILCOR コンセンサス2015 に基づく新生児蘇生法とは 日本においては,2007 年に日本周産期新生児学会主催による,ILCOR コンセンサス2005 に準じた第1 回新生児蘇生法講習会(NCPR)が開催されたのが,ILCOR コンセンサスに準じた蘇生法の始まりである.その後,ILCOR2010 の改訂によりNCPR でも,羊水混濁時の対応の除外,空気での人工呼吸の導入,パルスオキシメータの使用,CPAP の導入など大きな変化がみられた.そして,ILCOR2015 においては,2010 での改訂はすべて継承され,新たに蘇生中の体温管理の重要性,蘇生が必要となった場合の人工呼吸を行うまでの時間軸の確認(60 秒以内),心拍数確認法としての心電図の使用,換気の重要性の再確認,胸骨圧迫中の酸素濃度などが変更点として挙げられた.これらの中では,蘇生が必要と判断された場合の速やかな人工呼吸開始,そして,その換気の重要性の強調が,最も重要とされ,これは蘇生の基本でもある.2 新生児蘇生法の手順 新生児蘇生の手順は,NCPR2015 のアルゴリズムに準ずる(図Ⅱ?A?Ⅰ?1).アルゴリズムは,出生直後のチェックポイントで,いずれかを認めた場合に,蘇生の初期処置に向かい,その後,心拍数100 回/未満か自発呼吸がない場合は,図の左側の「蘇生の流れ」へ,心拍数100 回/分以上かつ自発呼吸ありの場合は,図の右側の「安定化の流れ」へ進む.この2 つの流れの理解が最も重要となる.1) 出生直後のチェックポイント 早産児,弱い呼吸・啼泣,筋緊張低下の3 つのチェックポイントをすべて認めない場合は,母親のそばでルーチンケアに向かい,一つでも認めれば蘇生の初期処置に向かう.実際には,ほとんどの場合は,前述したように妊婦情報から早産児かどうかは出生前にわかっているので,出生直後のチェックポイントは呼吸と筋緊張の2 つということになる.ルーチンケアには,保温,気道開通,皮膚乾燥と蘇生の初期処置と同様の項目が並ぶが,これは児の状態をみて適宜必3. 新生児蘇生の実際表Ⅱ?A?Ⅰ?3 Apgar スコア0 点1 点2 点皮膚の色全身が蒼白,青紫色体幹が淡紅色,四肢にチアノーゼ全身が淡紅色チアノーゼがみられない心拍数60 回/分未満60 回/分以上,100 回/分未満100 回/分以上反 射反応しない顔をしかめる,弱く泣く強く泣く筋緊張弛緩少しだけ四肢を動かす活発に四肢を動かす呼吸数呼吸しない弱い呼吸強く呼吸する生後1 分後と5 分後に上記スコアを判定し,0~3 点:重症仮死,4~6 点:軽度仮死,7~10 点:正常 と判定する