ブックタイトルベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版

ページ
10/12

このページは ベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

ベッドサイドの新生児の診かた 改訂3版

163A 正常編 Ⅶ 入院中の管理とは受け止めず積極的に育児に取り組める.産前クラスなどで伝えておくことも重要である. 母子同室のほかのメリットとしては母乳分泌がよくなる,母乳育児継続期間が長くなる,母子の絆が強まる,母親の細菌叢が移りやすい,母親がわが子のお世話のみするため,スタッフや医療器具などを介してのほかの児からの水平感染のリスクが低くなるなどが挙げられる.災害時,緊急時であっても避難経路などについて伝えておけば母児ともに安全に避難しやすい. 母子同室のデメリットはほとんど医療者側にしかない.母児に対して個別に診察,支援するため医師,看護師,助産師のマンパワーが必要となる.ただ個別に支援を行うことでスタッフの満足度,達成感が得られやすい.大変だがやりがいのある仕事となる.日本では生まれた新生児は入院患者として数えられないため母親の人数に対しての看護師・助産師しか配置されない.そのため十分な母子の看護を行うことは難しく,理想と現実がかけ離れたものになりがちである.ここにスタッフはジレンマ,ストレスを感じることが多い.アメリカではAAP(American Academyof Pediatrics)/ACOG(American College of Obstetric Practice)が健康な新生児6~8名に対して1 名の,母子3~4 組に対して1 名の看護師・助産師を配置するように勧告している5).日本においても長年改善されていない人員配置を改善するべきであると2012 年に出された「正期産新生児の望ましい診療・ケア」6)においても述べられているが,いまだに改善されていない. ほかのデメリットとしては個室でない場合は,児が夜中に啼泣した際に周囲の人に気を遣うことである.しかし皆同じ状況であり,入院した際などにスタッフが紹介をしてあげるなど挨拶をしておくと気持ちが緩和されるだろう. 母子同室では児の異常に気付きにくいといわれることがある.しかし新生児室で何人もの児図Ⅱ?A?Ⅶ?1 早期母子接触<新生児の体位>・ 顔がよく見えている・ 顔は横を向いていて鼻や口はふさがれていない・ 気道が開通したsniffing position・ 体はまっすぐで手足は適度に屈曲した状態<母親の体位>・ 上体が30 度程度挙上している状態