ブックタイトル専門医がリードする小児感染症ケースカンファレンス

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概要

専門医がリードする小児感染症ケースカンファレンス

138 一般的にCRP 値の増加が細菌感染症の証拠とされている.CRP 値が細菌感染症の指標となるのかに関する多くの研究があるが,カットオフ値をどのように設定しても発熱早期での有用性は示されていない.細菌感染の早期では,CRP 値はWBC 数や好中球数に比較して上昇が遅れる.細菌性髄膜炎などの重症の細菌感染症でも発熱早期ではCRP 値が0.0 mg/dL のこともある.しかし発熱から24 時間以降では細菌感染性の有用な指標となる。1. 乳幼児の発熱 乳幼児であっても発熱の原因の大半はウイルス感染によるが,稀に細菌感染が混在してくる. 実際の外来診療で身体所見のみで両者を鑑別することは不可能である.また,細菌感染症であっても直ちに抗菌薬の投与が必要となる疾患は稀であり,一般的に侵襲性細菌感染症と呼ばれる細菌性髄膜炎,細菌性関節炎,菌血症など以外の,肺炎や尿路感染症などの疾患では通常,数日程度の診断や治療の遅れは問題とはならない. 直ちに抗菌薬の投与が必要となる侵襲性細菌感染症の見逃しは避けたいが,現在の医療水準で完全な対応は不可能である.新生児期以降の侵襲性細菌感染症の起炎菌のほとんどがHib と肺炎球菌であったが,ワクチンの導入でHib は事実上消え去り,肺炎球菌による感染症も減少している.2. Baraff の指針 乳幼児の発熱で,明らかな感染原が不明の場合にはBaraff の指針に従う.Baraff の基準とは3 歳未満で,39℃以上の発熱児で明らかな感染のフォーカスが不明であれば,血液検査を施行しWBC 数が15,000/μL 以上であれ血液培養を行う.できるだけ導尿による尿検査も行う.膀胱内の尿の貯留を確認するため可能であれば腹部エコーを行う.ただし,Hib やPCV 接種完了児で,翌日の受診が可能であれば抗生剤の投与は必ずしも必要はないとされている.3. CRP 値 CRP 値は発熱早期の細菌感染症の指標とはならないことを知っておく必要がある.4. 中耳炎は発熱のフォーカスとはならない 中耳炎を発熱のフォーカスとして対応されていることが多いが,通常の急性中耳炎がフォーカスとなる発熱はないことを知っておくべき.あくまで先行するウイルス感WBC数や好中球数は著増しているがCRP値は軽度の上昇にとどまっている.Q1 ウイルス感染症と細菌感染症のどちらを疑うべきか?A1