ブックタイトルイラストを見せながら説明する 育児のポイントと健康相談

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概要

イラストを見せながら説明する 育児のポイントと健康相談

14.脂漏性湿疹,アトピー性皮膚炎 109たものを使用する. 薬物療法として外用療法では,ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(2 歳以上)を日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」に沿って使用する.幼少時の皮膚の特性により,経皮吸収が高く副作用(皮膚の萎縮,多毛,毛細血管拡張,感染症の誘発)が出やすいため注意が必要である.特に陰嚢,頬,前頸,頭皮,腋窩は経皮吸収が高い部位である.内服療法としては,非鎮静性の抗ヒスタミン薬をかゆみ対策のみならず,H1 受容体の逆作動薬として持続的自然活性を抑制するため,かゆみがなくても継続投与するとより効果的であることもわかってきた.また,顔面などの皮膚の炎症があることにより,消化管を介さずに皮膚から感作される食物アレルギー発症との関連が指摘されてきており,より積極的な治療が望まれる. なお,アトピー性皮膚炎の皮膚の性状から,夏季には伝染性膿痂疹になりやすく,水イボも増加しやすい.また水痘や単純疱疹に罹患した場合,全身に水疱が広がり重症化するカポジ水痘様発疹症の状態に注意が必要である.[和田 万里子]Memo 小児のアトピー性皮膚炎においても,治療の主体はステロイド薬の外用療法である.その実際の塗り方と主な注意点を以下にあげる.1)ステロイド外用薬の塗布量 成人の人さし指のDIP 関節から指先端までの指腹側に,口径5 mm のチューブから押し出してのせた軟膏の量を1FTU(finger tip unit)といい,これは約0.5 g に相当する.この量で成人の両手掌分の面積を塗るのが適量といわれている. 通常,1 日1?3 回,病変部に軽く置くように塗る.特に入浴後は吸収がよく,有効である.2)ステロイド外用薬の注意点 顔面,陰部などは皮膚が薄く,局所的副作用が出やすく体内への吸収量も多い.可能な限り弱いものを使用して,短期間とする.頭部など有毛部には塗布しやすいローションやソリューションタイプを使用する.いずれも1?2 週を目安に効果の評価を行い,外用薬の変更も検討する.ステロイド外用薬の使用で心配される全身的副作用は,1 日10 g 以上の塗布を続けると生じることがあるとされる.[金子 堅一郎]column 外用ステロイド薬の塗り方の実際