ブックタイトルイナダ(研修医)も学べばブリ(指導医)になる

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概要

イナダ(研修医)も学べばブリ(指導医)になる

 筆者が初期および総合内科後期研修を行っていた頃,医学界はEBM(evidencebasedmedicine:根拠に基づく医療)をどう学ぶか,EBMにどう対応するか,EBMで医療はすべて改善できるかといった議論に満ちあふれていました.一時は,「診断を最適化するにはEBMが非常に重要である」という言説も聞かれましたが,一方でEBM以外にも重要な考え方があるはずだといった議論もまた非常に激しかったです. 2000 年からは,医療者教育の学習と臨床推論の研究をする2 年間を過ごし,EBMは仮説演繹法と相性がよいが,診断仮説が思い浮かばないときにEBMは全く無力であることがよく理解できました.また,日本を含め東・東南アジア諸国ではPBL(problem based learning)テュートリアルへの関心が高まり,臨床推論の学習と関連づけた議論も多くありました.とはいえ,当時は徹底検討法,仮説演繹法,パターン認識をどのように用いればよいかすら,まだよくわかっていませんでした. 当時の臨床推論領域の研究は,どちらかというと認知心理学者によるものが中心であり,臨床医は方法論の面でなかなか研究に迫ることができませんでした.筆者が当時指導を受けたのも認知心理学者のElstein氏であり,少しは自分で研究ができるようになりたいと思っていましたが,臨床推論の理論を紹介する程度の活動しかできておらず,今も力不足を痛感しています. 本書は,そのような臨床推論の理論を,臨床の指導的事例を通じて関連づけていこうという新しい試みの書籍です.指導的事例は,臨床のプロ中のプロである林 寛之先生が,日頃指導しておられる様子を通じて事例として展開されています.さらに,研究者的視点を入れて振り返ると,どのような意味づけができるか,さらなる振り返りが生まれるかという観点で読んでいただければと期待しています.大西弘高