ブックタイトル実践力UP!NCPR(新生児蘇生法) 37のポイント

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概要

実践力UP!NCPR(新生児蘇生法) 37のポイント

9症例1症例2 症例3 症例4 症例5 症例6 症例7 症例8 症例9Point ●? パルスオキシメータを装着するタイミングパルスオキシメータは,赤ちゃんの酸素飽和度と心拍数を客観的・連続的に表示してくれます.この2 つのバイタルサインは,次の行動を決定する上で必要な情報です.よって人工呼吸やCPAP などの蘇生を要する場合にはできるだけ早く装着します.それではこのシナリオのように,もしも赤ちゃんの蘇生に参加できるスタッフが1 人しかいなければどうしましょうか?アルゴリズムでは初期処置の後に大きな分岐点があります.アルゴリズムの左側を「救命の流れ」,右側を「安定化の流れ」と表現しましょう.出生から30 秒が経過した段階で「自発呼吸がない」もしくは「心拍数が毎分100 回未満」の赤ちゃんに対しては,速やかに人工呼吸を開始しなければいけません.「救命の流れ」においては,必要な処置を素早く開始することがとても重要であり,蘇生者が1 人しかいなければ,モニターの装着よりも人工呼吸開始が優先されるでしょう.これに対して,自発呼吸があり,なおかつ心拍数が毎分100 回以上である赤ちゃんは「安定化の流れ」に進み,もしも努力呼吸と中心性チアノーゼを呈している場合には呼吸のサポートを行いますが,「救命の流れ」ほどの緊急度はありません.肉眼によるチアノーゼの評価の信頼度は低く,酸素を過不足なく適切に使用するためには,早めにモニターを装着したほうがよいでしょう.ルーチンケア(母親のそばで)・保温・気道開通・皮膚乾燥・更なる評価人工呼吸と胸骨圧迫に加えて,以下を順次試みる・アドレナリン・生理食塩水(出血が疑われる場合)・原因検索心拍60/ 分以上に回復したら人工呼吸へ戻る(*)保温,体位保持,気道開通(胎便除去を含む)皮膚乾燥と刺激人工呼吸(*)SpO2 モニタSpO2 モニタCPAP または酸素投与人工呼吸を開始する中心性チアノーゼのみ続く場合はチアノーゼ性心疾患を鑑別する蘇生後のケア人工呼吸と胸骨圧迫(1:3)(**)出生直後のチェックポイント・早産児・弱い呼吸・啼泣・筋緊張低下呼吸と心拍を確認(SpO2 モニタの装着を検討)努力呼吸・チアノーゼ確認努力呼吸・チアノーゼ確認心拍数確認心拍数確認すべて認めないいずれかを認める自発呼吸なしあるいは心拍100/ 分未満自発呼吸ありかつ心拍100/ 分以上(*) : 人工呼吸:新生児仮死では90% 以上はバッグ・マスク換気だけで改善するので急いで挿管しなくてよい.(**):人工呼吸と胸骨圧迫:1 分間では人工呼吸30 回と胸骨圧迫90 回となる.100/ 分以上60/ 分未満はいはいいいえいいえ60/ 分未満60~100/ 分未満換気が適切か確認気管挿管60/ 分以上救命の流れ安定化の流れ出生30 秒60 秒C O L U M N 3中心性チアノーゼの肉眼的な評価は当てにならない・新生児病棟勤務の医師・看護師に,出生後の蘇生の様子を記録した動画を見せ,「ピンクになった(中心性チアノーゼが消失した)」と思った時間を質問・集計した研究があります 2).観察者が「ピンクになった」と判断した時のSpO2 実測値の平均は69%で,わずか50%未満でそう判断した人もいれば,100%になってからようやく判断した人もいました.