ブックタイトル子どもの風邪
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概要
子どもの風邪
82Ⅲ 風邪の治療って？A 抗ヒスタミン薬 かつて小児科医は，鼻汁症状に抗ヒスタミン薬を投与することが治療になると考えていました．しかし，乳幼児に対して抗ヒスタミン薬を投与しても，臨床症状の改善はない一方で，副作用の眠気は出ます7）．たとえば，抗ヒスタミン薬を1日3回（毎食後）で投与した場合，日中に眠気が出るため睡眠リズムが狂ってしまい，かえってQOL が下がることになります． また，風邪の経過を長引かせることにもつながるのです．抗ヒスタミン薬は炎症部のヒスタミンの作用を抑えることで分泌物の量を低減させますが，そのために分泌物の粘稠度が上がってしまうことが問題です．図Ⅲ-8 は急性風邪薬の効果2 Ⅲ 風邪の治療って？0 30 60 90 120 150 180 210（日）20406080100（%）中耳貯留液残存患者比率プラセボステロイド抗ヒスタミン薬両 剤図Ⅲ-8 抗ヒスタミン薬が中耳炎後の中耳貯留液残存に及ぼす影響 （文献8）より）