ブックタイトル放射化学放射線化学 改訂5版

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概要

放射化学放射線化学 改訂5版

86  4 章 放射線と物質との相互作用A. 電離放射線の挙動 放射線化学における化学変化は,放射線が物質に吸収された結果起こるものであり,化学変化は放射線の種類により異なる.放射線のエネルギーは,化学結合(数eV)やイオン化エネルギー(数eV~数+eV)よりもはるかに大きいので,物質中の原子や分子を励起あるいは解離する.放射線はイオン化力という点から,① 荷電粒子,② 中性粒子,③ 電磁波に分けられる.荷電粒子は原子や分子と相互作用しながら減速する.これを衝突と呼ぶと,荷電粒子は,ほかの粒子と衝突して自らの内部エネルギー,運動エネルギーおよび粒子のモーメントが変化する.2 粒子間の衝突によって運動エネルギーにのみ変化があると,それは弾性衝突といい,ほかに内部エネルギーの交換やイオン化などがあった場合には,非弾性衝突という.衝突によって得た運動エネルギーが,自らの原子を励起するのに必要なエネルギーより小さいと,弾性衝突が起こり,それより大きいと原子は励起される.また,荷電粒子が原子の電場中を飛行すると,減速され,それによって失われるエネルギーは,電磁波として放射される.この現象は衝突の定義と一致しないが,荷電粒子が原子核の近傍を通るときに一般的にみられる現象で,これを輻射性衝突という.B. 荷電粒子と原子との相互作用 荷電粒子が吸収物体中を通るときに3 つの異なる相互作用が起こり,これらの相互作用の起こる割合は,粒子の有するエネルギーによって異なる.a 輻射性衝突 高速荷電粒子が原子核の電場の中を通るときその速度が減速され,連続エネルギー分布をもつ電磁波が放出される.荷電粒子の飛行距離当たりの制動放射により失われるエネルギー損失は-(dE/dx)rad=Kz2Z2/m2で与えられる.z とm は荷電粒子の電荷と質量,Z は荷電粒子を減速させる原1 荷電粒子の衝突