ブックタイトル放射化学放射線化学 改訂5版

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概要

放射化学放射線化学 改訂5版

D.標識化合物  149 標識化合物の合成法はなるべく簡単で,高収率であることが望ましい.そのためには合成の最終段階に近いところで放射性同位体を組み込むのがよい.そうすることにより,同位体の損失を防ぎ,また取り扱い中での被ばくを最小にすることができる.a 化学合成法 化学反応を利用する方法で,分子中の希望の位置に標識でき,多重標識が可能である.高比放射能,高収率の製品が得られる,短時間で行えるなどの利点がある.しかし,複雑な化合物の合成は難しい.Ba14CO3から14CO や14CO2を経て,14CO +β?+ Cl2   14COCl(2 ホスゲン),14CO2 + LiBH4   H14COOHなどを得る.また,RMgX + 14CO2   R14COOHグリニヤール反応試薬RMgX を用いるこの反応はグリニヤール反応と呼ばれ,炭素化合物の合成でよく使われている.b 生合成法 ホルモン,アルカロイド,多糖類,タンパク質などの複雑な構造の標識化合物は,酵素や微生物を14CO2中で培養したり,生物体の新陳代謝などを利用して合成する.光学活性体も合成できる.しかし,合成を生物に任せているので標識位置は不定で,比放射能,収率を自由に決定できない難点がある.14CO2を含む空気中でクロレラを培養すると14C を含むタンパク質を得ることができる.さらに,これを分解して14C を含むアミノ酸や14C で標識されたデンプンを得ることができる.c 同位体交換法 特殊条件での同位体交換反応を利用して合成する方法で,トリチウム化合物やヨード化合物の標識によく用いられている.合成困難な物質の合成が可能で1 標識化合物の合成法 → → →