ブックタイトル放射線治療学 改訂6版

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概要

放射線治療学 改訂6版

外部照射 79 STI の主な適応疾患は,転移性脳腫瘍,脳動静脈奇形,良性腫瘍(聴神経腫瘍・髄膜腫など),原発性悪性脳腫瘍などである.基本的には大きな腫瘍には適さず,通常は3 cm 以下の病変が良い適応になるが,分割照射の導入により,ある程度サイズの大きな病変に対しても対応できるようになっている. 現在では,肺癌,肝臓癌などの体幹部腫瘍の治療にも応用され,手術に匹敵する良好な成績が報告されている.2004 年より体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiation therapy:SBRT)として保険適応になり,近年急速に普及した.保険上の対象疾患は,直径5 cm 以内で転移のない原発性肺癌または原発性肝癌,および3 個以内で他病巣のない肺転移または肝転移である.臨床的には3 cm程度までの小さい腫瘍が良い適応になる.2016 年からは新たに前立腺癌もSRTの保険適応になった.通常治療では8 週間程度の治療期間が必要であったが,定位照射では1 週間程度に短縮できる場合もあり,注目を集めている. さらに,保険適応ではないものの,腎癌,膵癌,副腎転移などに対するSRT も報告されている.体幹部の腫瘍では,固定がむずかしいこと,呼吸により移動するなど,頭蓋内病変に比べて高精度な治療を行うには困難な課題があるが,固定フレームや後述のIGRT,4DCRT などさまざまな方法で照射位置精度を高める工夫がなされている.b .原体性を重視した照射方法1)回転原体照射 放射線を照射中にガントリーを回転させながら,MLC を用いて照射野の形をその角度から見たターゲットの形状に変化させながら照射する方法.単に「原体照射」と表記される場合はこの照射方法を指す場合が多い.1950 年代に日本の梅垣,高橋らが世界に先駆けて開発した.現在の高精度放射線治療の基礎となる照射方法である.図4?9.定位放射線照射の例CyberKnife による転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療の例.多方向からの照射により集中性の高い線量分布が得られている.