ブックタイトル放射線治療学 改訂6版

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概要

放射線治療学 改訂6版

放射線生物学 631)術前照射 術前にあらかじめ照射しておき腫瘍縮小を狙う.切除範囲が大きくなり過ぎて困難だったところを切除可能にしたり,手術操作を容易にしたりする.また,手術操作に伴う腫瘍細胞の播種を防いだり,切除断端が陽性になるのを防いで局所制御を向上させることも目的となる.2)術中照射 手術中に腫瘍切除後の腫瘍床に対し,一般に電子線照射を1 回照射にて行う.従来,患者を手術室からリニアック室に移動させていたが,手術室に術中照射専用電子線治療装置を設置して行う方法(MovetronR)も普及中である.腫瘍残存の明らかなもの,または疑わしいものに対し,その後の局所制御を少しでも高めるために術中追加療法として照射する. 一般に患者は全麻下で管理され,照射は遠隔操作で行われる.モニタリングに最大限の努力を傾注しなければならない.3)術後照射 手術で根治的切除がなされたとしても,微視的な腫瘍が残存することもありうる.手術部位へ術後照射を追加することで局所制御・領域リンパ節制御を向上させることが目的である.さらに,早期乳癌のように微視的遠隔転移巣に対しても有効な全身療法が存在したり,元々の全身状態や合併症の有無などから長期生存の可能性が高い場合には,局所制御の向上が生存率の向上につながる.術後照射が推奨される要件は疾患部位ごとに異なるが,例えば解剖学的病期の他に,組織学的悪性度,切除断端の腫瘍残存の有無,リンパ管・血管侵襲の有無などが考慮されるケースが多い.4)周術期照射 最近,組織内照射の技術的発達に伴い,これに手術を組み合わせる併用療法が盛んになってきた.すなわち,手術中に組織内照射用のチューブやバルーンを留置しておき,周術期に照射図3?14.Cetuximab による皮膚障害a:投与開始後比較的早期にみられる?瘡様皮疹.b:放射線治療併用時における皮膚炎.頸部全体に強い紅斑とまだらな湿性びらんを認める.a b