ブックタイトル在宅栄養管理 改訂2版

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概要

在宅栄養管理 改訂2版

1541chapter水分・栄養補給に限らないが,医療・ケアを巡る倫理の要となるのは,本人・家族と医療・介護従事者とがコミュニケーションを通して,どのような治療ないしケアをするか,しないかを意思決定するプロセスである.人間同士が一緒に何かをしようとする時に,肝心なのが「どうするかを決めること」(=意思決定)であり,それを巡って「どのように決めるか」(=意思決定プロセス)が,決定およびその決定に従ってなされる治療・ケアが適切であるか否かの分かれ目になるからである.意思決定プロセスについては,近年プロセス・ガイドラインが発表されるようになってきているが,これらは意思決定プロセスの倫理的に適切なあり方についての社会の共通理解を反映しており,医療・ケア従事者に対する社会的要請ないし期待を示したものと解することができよう.そこで,ここでは,厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」1)(2007 年,2015 年改訂)と日本老年医学会の「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン─人工的水分・栄養補給の導入を中心として」2)(2012年)について,その指針の核心を提示することによって,ケア従事者が臨床現場で本人・家族と対応する際の参考に供したい.(1)厚生労働省のプロセス・ガイドライン「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省2007:2015 年3 月改訂)は,当初,「終末期医療の決定プロセス…」として発表されたが,2015 年3 月にこのタイトルおよび内容全体にわたって「終末期」を「人生の最終段階(における)」に置換するという改訂を行った.これは,「最期まで尊厳を尊重した?間の?き?に着?した医療を目指すことが重要である」との考え方を示したものとされている3).「終末期」は,身体の状態についての医学的判断に基づいて判定されるものであるが,「人生の最終段階」は,単に医学的に決まるものではなく,人生を生きている人間全体に注目した概念だと解すことができる.ここではガイドライン本文の読み方の解説4)は割愛し,結論のみを図Ⅱ-1-1 に示す.意思決定プロセスの臨床倫理厚生労働省と老年医学会のプロセス・ガイドライン