ブックタイトル在宅栄養管理 改訂2版

ページ
11/12

このページは 在宅栄養管理 改訂2版 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

在宅栄養管理 改訂2版

1章サルコペニア189表Ⅲ-1-1.サルコペニアの原因原発性サルコペニア加齢の影響のみで,活動・栄養・疾患の影響はない二次性サルコペニア活動によるサルコペニア:廃用性筋萎縮,無重力栄養によるサルコペニア:飢餓,エネルギー摂取量不足疾患によるサルコペニア侵襲: 急性疾患・炎症(手術,外傷,熱傷,急性感染症など)悪液質: 慢性疾患・炎症(癌,慢性感染症,膠原病,慢性心不全,慢性腎不全,慢性呼吸不全,慢性肝不全など)原疾患: 筋萎縮性側索硬化症,多発性筋炎,甲状腺機能亢進症などc.栄 養栄養によるサルコペニアは飢餓である.飢餓とは,エネルギーや蛋白質の摂取量が不足する状態が持続して低栄養になっていることである.飢餓では体重減少によって,基礎エネルギー消費量と活動時のエネルギー消費量が低下する.d.侵 襲侵襲とは,生体の内部環境の恒常性を乱す可能性がある刺激である.具体的には手術,外傷,骨折,急性感染症,熱傷など急性の炎症である.侵襲下の代謝変化は,傷害期,異化期,同化期の三つの時期に分類される.傷害期では一時的に代謝が低下する.異化期では筋肉の蛋白質の分解が著明で,高度の侵襲では1 日1 kg の筋肉量が減少する.同化期では筋肉と脂肪の量を増やすことができる.CRP3 mg/dL 以下であれば同化期と判断する目安がある.在宅では侵襲を認めなくても,以前の入院時における侵襲の影響で低栄養を認めることは少なくない.e.悪液質悪液質とは,「併存疾患に関連する複雑な代謝症候群で,筋肉の喪失が特徴である.脂肪は喪失することもしないこともある.顕著な臨床的特徴は成人の体重減少(水分管理除く),小児の成長障害(内分泌疾患除く)である.食欲不振,炎症,インスリン抵抗性,筋蛋白崩壊の増加がよく関連している.飢餓,加齢に伴う筋肉喪失,うつ病,吸収障害,甲状腺機能亢進症とは異なる」3).悪液質の原因疾患には,癌だけでなく,慢性感染症(結核,エイズなど),膠原病(関節リウマチなど),慢性心不全,慢性腎不全,慢性呼吸不全,慢性肝不全,炎症性腸疾患などがある.これらの疾患を合併した患者に低栄養を認める場合,悪液質を疑う.悪液質の診断基準を表Ⅲ-1-2 に示す3).悪液質では慢性炎症を認めるた