ブックタイトル在宅栄養管理 改訂2版

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概要

在宅栄養管理 改訂2版

1881chapter(1)サルコペニアとはサルコは筋肉,ペニアは減少や喪失を意味するギリシャ語である.当初は加齢による筋肉量減少のみをサルコペニアと呼んでいたが,2010 年にEuropeanWorking Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)は「サルコペニアは身体的な障害や生活の質の低下および死などの有害な転帰のリスクを伴うものであり,進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群である」と定義した1).現在では,筋肉量減少のみの場合はサルコペニアと判断しないで,筋肉量減少に筋力低下もしくは身体機能低下を伴う場合にサルコペニアと判断するようになった.つまり,サルコペニア=筋肉量減少ではない.EWGSOP の定義のように,サルコペニアはADL やQOL の低下,死亡のリスクとなる.四肢体幹の筋肉に認めれば寝たきり,嚥下関連筋に認めれば嚥下障害,呼吸筋に認めれば呼吸障害となり得る.そのため,在宅でもサルコペニアの評価と対応は重要である.(2)サルコペニアの原因サルコペニアの原因が加齢のみの場合を原発性サルコペニア,その他の原因(活動,栄養,疾患)の場合を二次性サルコペニアと分類する(表Ⅲ-1-1)1).成人低栄養の原因である飢餓,侵襲,悪液質は,全て二次性サルコペニアの原因である.そのため,低栄養では二次性サルコペニアを認めることが多い.a.加 齢加齢によるサルコペニアには,栄養,身体活動,ホルモン,炎症,インスリン抵抗性など多くの要因の関与が考えられている.加齢と共にテストステロン,エストロゲン,成長ホルモンといった同化促進ホルモンの血中濃度が低下し,炎症性サイトカインであるtumor necrosis factor-α の産生が増加する.b.活 動活動によるサルコペニアは,不活動,安静臥床,無重力などが原因で生じる廃用性筋萎縮である.つまり,廃用症候群の一部と言える.廃用症候群の高齢入院患者の88% に低栄養を認めるため2),廃用症候群では栄養評価が必要である.サルコペニア