ブックタイトル実践!ケースで学ぶ栄養管理・食事指導エキスパートガイド

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実践!ケースで学ぶ栄養管理・食事指導エキスパートガイド

47.自己流223患者指導 情報が氾濫している現代において,インターネットや書籍,患者仲間など,あらゆる方法により情報を入手し自己流で食事療法を行っている患者さんは少なくありません.ただし,自己流であるがゆえに間違った知識の習得や,効果が低い,さらには病態を悪化させるような食事療法を行っている場合もあります.そのため,管理栄養士など医療スタッフの介入により正しい知識の習得および行動変容へ導くことはきわめて重要であるといえます. ここでは,筆者が実際に経験した自己流で食事療法を行っていた2症例を紹介します.症 例 1 58歳男性.高血圧ならびに肥満症(BMI 28 kg/m2).減量のために欠食および主食を食べないようにしていたが,空腹感から間食・夜食として菓子類の摂取につながっていた. 担当医より減量の必要性を説明されており,患者さんは食事療法を開始していたが,体重の変化はあまりみられなかった.栄養士が「診察時より体重が減っていますが,何か気をつけられていたことはありますか」と聞くと,患者さんからは「先生からやせるように言われて今回は本気でやせようと頑張っているのですが,そのわりには体重が減りません.具体的には,昼食を食べないようにしたことと,ごはんを食べないようにしました」との答えがあった.患者さんの発言から,減量への意識をもって自分なりの努力はしているものの,欠食や主食を欠如するなどといった極端な行動になっていることがわかった.ただし,体重減少を認められそうであったため,さらに食生活の内容についてよく聞いていくと,「午後3時ごろや寝る前に空腹感があり,菓子パンや菓子類を食べてしまっていることがある」と,欠食や主食の欠如によって空腹感が生じ,間食・夜食として嗜好品の摂取につながっていることが判明した. このときの指導においては,最初に患者さんの行動を否定するのではなく,診察を契機に自身の食生活を変化させ努力していることに対して言葉にして認めていくことが必要です.また,患者さん自身が食生活を振り返り,自身の行動に対しての思いや評価を話せるような配慮が必要となります.その後に,具体的に必要な食事療法についての知識を提供し,患者さん自身が自分の行動の問題点に気づくことが行動変容には重要です. この患者さんの場合は,欠食や主食の欠如が空腹感につながることや菓子類のエネルギー量を情報提供することで,自らの食生活が高エネルギー摂取に結びついていることを患者さん本人に気づいてもらうようにしました.その結果,1 日3 食の食事および主食摂取を含めた食事バランスに配慮することの重要性を理解し,行動変容に移すことで減量へとつながりました.47 自己流患者指導